組織を取りまとめるには指揮官が必要となる。

小さな組織であれば、経営者自身が指揮官となって組織をまとめることも可能だが、組織が大きくなると、経営者だけで組織内全ての指揮を取ることは不可能となる。

そのため組織がある程度大きくなったら、経営者とは別に事業所管理者を任命して、任命した事業所の運営を任せることになる。

当然そうなると、経営者自身はその事業所に足しげく通うという機会は減ることになる。そのため経営者がサービス現場で管理職や職員の動きを見つめる機会がなくなる。

開業当初、小さな組織だった介護事業者ではしばしば、そのことを嘆く管理者や従業員が居たりする。

しかしそれは間違った考えだ。経営規模が大きくなったら経営者が管理者を兼ねていた時のように、サービスの場をくまなく見て回ることなんてできなくなる。

だからと言って経営者が仕事をさぼっていると考えてはならない。経営規模が大きくなれば、経営視点もグローバルにならざるを得ない。経営者は経営主体の未来を創るために、事業主体の外に出て、人脈をつくったり、情報を分析したりしなければならないのである。
介護事業経営
その場合、経営者の目と耳の役割を果たし、経営者が本部で経営に専念できるようにする役割を持つのが管理者である。

だからこそ管理者は従業員に対して、自分が経営者に代わって君たちの仕事ぶりをしっかり見ていると伝え、その姿は自分が経営者に伝えていることを明らかにする必要がある・・・そのような説明が、組織を円滑に運営させることに繋がる。

このように管理者とは、経営者から任された部署や組織、あるいは事業所の成果を最大化する役割を持つことを忘れてはならない。経営者から与えられた権限の範囲内で判断をして、人や予算などを使いながら、効率よく成果を出していく責任があるのだ。

そもそも管理者の評価は事業所の成果によってなされるのである。収支状況は明確な管理者の評価につながる。つまり管理者自身が経営的視点をもって、事業所を管理・運営していかねばならないわけである。

ところが介護事業者の場合、経営視点を忘れて、プレーヤー視点だけを前面に出してしまっている人が多い。

かつて優秀なプレーヤーであった人であればあるほど、プレーヤーの役割をこなしながら事業所管理を行おうとして、結果的に経営視点に欠けてしまう例があまりにも目立つのである。

それでは駄目なのだ・・・介護人材が枯渇しつつあり、物価高など経営を揺るがす要素が多々存在するこの厳しい時代に、プレーヤー業務をこなしながら事業所を健全に運営するなてことは至難の業である。

しかも管理者がプレーヤーを務めている限り、従業員はそのことに頼った思考回路から抜けられなくなる。それは従業員がプレーヤーとしてスキルアップしていく足かせにしかならない。

つまり事業管理者は、思い切って自分自身がプレーヤーである状態をなくさねばならない。事業管理に専念して、自分を超えるようなプレーヤーを育てることが大事なのである。

それはこの厳しい時代に勝ち抜く介護事業経営につながる唯一の道であることを忘れてはならない。


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