この世の現実とは不条理なものである。

あってはならないとされる差別不公平不平等なんて、実際にはそこかしこに存在している。

格差なんて、ないものを探す方が難しい。

だからこそ人は夢を追う。夢を食って生きるのだ。夢を見る力を失った人生は地獄だ。夢はこの世の不条理を忘れさせてくれるものであり、夢はこの世界が生きるに値するものだと信じさせてくれるからだ。

そうやって自分を騙しおおせて死んでいけたら、それで本望だと僕は思う。

夢は、時として目標という言葉に置き換えられる。夢と呼べば実現不可能な幻想とイメージしてしまうが、同じものを目標と呼べば、手が届くもの・かなうものと思いこめるからだ。

そうした目標に向かう最中に、挫折して絶望という形でピリオドを打つことはたやすい。

しかしそれは戦い抜いての敗北とは意味が違う。絶望は戦いからの逃避であり、ある意味、魂の自殺行為だ。

絶望によって前に進もうという意思にピリオドを打つたびに、人は自らの生の品位を貶める・・・それを繰り返すたびに、人生は腐っていく。

希望は向こうからやってくるとは限らない。迎えに行くのを待っている希望もある。そうであるからこそ前に進めば必ず開ける未来があると信じた方がポジティブだ。

金も才覚もなくとも、今日まで僕が曲がりなりにも一つの業界で生きながらえてきた理由は、絶望禁忌としてきたからである。

それは決して理想論ではなく、僕にとっては現実的思考だ。
絶望と希望
僕たちは対人援助の場で、感情ある人間と向かい合い、その人の暮らしという現実に介入してきた。そこに抽象論が入り込む余地はない。理屈をこねくり回しても、手を差し伸べる具体的方法論がなければ、何も意味をなさないのが対人援助だからである。

そこでは課題解決の手掛かりは、暮らしの場・対人援助の場という「現場」にしか存在しない。頭で想像した状況について議論したって始まらないのだ。

なにより生の現実をこの目で見ることが大事であり、それ以外の方法で答えは見つけられない。

何をすべきかは、国や制度が教えてくれるのではなく、利用者が示してくれるのである。

介護保険制度や介護報酬体系は、年数を経ても成熟せず、ますます複雑になるだけである。それで利用者に寄り添う方法が深化したとか、利用者のQOLが良くなったという事実はない。

それはそうだ・・・生の現実を観ることのない人々が、机上の論理で創り出すものが、正しい答えにつながるわけはないからだ。

だからこそ制度や法令は良いところ取りをして、斜めから見つめていた方が良い。法令は護るが、それで何か良い結果が引き出せるとは思わず、報酬を得る手段としてそのルールから外れないように、そろそろと進む目安と思うだけでよい。

地域住民及び利用者の福祉やQOLの向上とう結果は、それとは別の場所で僕たち自身がエビデンスを生み出して勝ち取るしかない。

その辺の分別は持っておこう。LIFE科学的介護情報システム)によってエビデンスが生まれるなんて言う神話は横に置いておいて、それは加算収入を得る手段と割り切り、僕たちがそんなシステムが存在する以前から脈々と積み上げてきた実績をベースに、僕たちが対人援助の場で行っていることを、他者に伝わるように言語化・文章化していくことが重要だ。

この業界の人材はピンキリである。質の差が大きいことは主知の事実だ。だからこそピンの人は、その知識や技術は秘伝とせず、キリの人の一部でも引き上げられるように、「伝える技術」をもって、広く情報伝達していく必要がある。

達人が、ごくわずかの人を幸せにしたってしょうがないのだ。幸せになる人の数を増やすために何が必要かを考えてほしい。
メディカルサポネットの連載、菊地雅洋の波乱万丈!選ばれる介護経営の今月更新記事は、科学的介護情報システム(LIFE)の現状と課題です。
菊地雅洋の波乱万丈!選ばれる介護経営
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