カップ麺が出来上がるまでの3分は長いが、過ぎ去った時間を振り返ると、それはあっという間の出来事であった感がある。

ということで今日から暦は7月に替わった。ということは1年のちょうど半分が終わり、後半の半分が始まったというわけである・・・もうそんな時期かと思うのと同時に、年々自分が年を取る速度が加速しているような気がしてならない。

ところで介護保険施設(※ショートステイを含)は、この7月中にしておかなければならないことがある。

それは8月から居住費光熱水費分が引き上げられたことにより、利用者自己負担額が変わる方がいるため、その説明・同意という手順を踏んでおくことである。

このことは介護保険最新情報のVol.1280でも周知されてることであるが、居住費の負担額が60円(日額)引き上げられる。(※ただし補足給付によって、負担限度額を0円としている利用者負担第1段階の多床室利用者については、負担限度額を据え置き、利用者負担が増えない

1日60円の居住費引き上げ分は、すべて施設の収益となる。自己負担0円に変わりのない第1段階の多床室利用者についても、補足給付額が60円(日)アップするわけであるから、介護保険施設が年間収益として計上できる額は、利用者人数×60円×365日ということになる。(※今年度に限っては、この計算式に×8/12という計算が加わる

つまり100人定員施設なら年額219万円(年)の収益増につながるのだから、決して少ない収益額とはいえない・・・がしかし。
夏の風景
この引き上げは、近年の高齢者世帯の光熱・水道費などや在宅で生活する方との公平性等を総合的に勘案した結果とされているが、当然そこには物価高という背景も影響しているのだろう。

それにしては引き上げ額が少な過ぎるのではないかという声が聴こえてきそうである。

この引き上げ額は総務庁の家計調査の結果が根拠であるとされている・・・だが僕自身はその資料をどう読みとれば、高齢者世帯の光熱水費が1日60円しか上がっていないとするのかがわからない・・・どなたかわかる方が居たら教えてほしい。

どちらにしても調査自体の正確性は検証できない。国が調べた結果であるから信用しなさいと云われて終わりである。

ところで居住費の光熱水費相当額が引き上げられるのに、同じく物価高で高騰している食費の食材料費相当分は今回なぜ引き上げられないのだろう。

その理由も総務庁の家計調査が根拠とされ、高齢者世帯の食費負担額は上がっていないということらしい。

そこで2023年(令和5年)平均結果の概要を調べてみた・・・すると「食料」は、86,554円で、名目5.7%の増加、実質2.2%の減少となっている。

実質とは、物価変動(3.8%)の影響を除いた数字だということであるが、名目負担が増えてはいるが、実質負担は減っているという意味がよく分からない。

ここから高齢者世帯の食費負担は増えていないということをどのように読み取るのだろう?これも大いに謎である。

しかし介護保険施設等の決算を見ると、確実に食材料費支出は上がっていて、それが経営に大きく影響していることは一目瞭然である。

給食業務を外部業者に委託している介護施設が多いが、食材料費の高騰で委託費用も相当額あげられている。この部分にきちんと対応した支援策がとられないと、介護保険施設経営は非常に厳しい状態となる。

そういう意味で家計調査と、施設の食材料費支出がリンクしているのかどうかということも検証すべきではないかと思う・・・全国老施協は、こうした提言を行っても良いのではないだろうか。

そもそも自分自身の暮らしにも、食材料費の高騰の影響は少なからず出ている。そうした実態が反映されない調査に何の意味があるのかと言いたい。

だがいくら愚痴を言っても、食費の標準費用が変更されないということに変わりはない。2027年度の報酬改定まで、それは変更されないだろう。

ということで介護保険施設の管理者の方々は、食材料費が高騰している中で、今までと同じ予算で食事の質も落とさずに、利用者に食事を提供し続けるという難題としか言いようがない課題を背負うことになる。

心労も相当にかかってくるだろうが、利用者にとって最大の愉しみである食事であるから、知恵と努力で、その難問に向かい合ってもらいたい。


※別ブログ「masaの血と骨と肉」もあります。お暇なときに覗きに来て下さい。

北海道介護福祉道場あかい花から介護・福祉情報掲示板(表板)に入ってください。

・「介護の誇り」は、こちらから送料無料で購入できます。


masaの看取り介護指南本看取りを支える介護実践〜命と向き合う現場から」(2019年1/20刊行)はこちらから送料無料で購入できます。
きみの介護に根拠はあるか
新刊「きみの介護に根拠はあるか〜本物の科学的介護とは(2021年10月10日発売)Amazonから取り寄せる方は、こちらをクリックしてください。