介護事業を多角経営している某法人が、新年度から新たな事業を開始予定としていたところ、人材が集まらなかったことを理由に開業時期を遅らせる決断をした・・・そして今現在も、開業時期が決定できずにいる。

新規事業所の経営を任せられる予定だった管理職の方が云うには、人材募集に応募が少ないことは初めての経験ではないが、これほど募集に反応が薄いのは初めての経験で、介護人材不足の深刻さを身に染みて感じているとのことだ。

コロナ禍で人減らしが必要となった飲食業や宿泊業が、人の流れが復活したことで、かつて解雇した従業員を再雇用するために大幅な賃金アップを図り、休みをとりやすくするなど、雇用条件も大幅改善して従業員確保に走っている。

そんなふうに介護以外の他産業でも人集めが大々的に行われている。まさに日本全体で労働力の確保競争が展開されているのだ。

そのような中で、給与改善のための経費を価格転嫁することができず、アップ分は介護報酬のプラス改定だよりにせざるを得ない介護事業者は、益々人材確保で苦境に立たざるを得ない。
叱る教育
だからこそ、顧客を確保して事業規模を拡大し、コスパを挙げて収益アップを図る事業戦略が必要になる。

だがそれも人材あっての問題だから、いかに人材を育て、定着を図るかという人材マネジメントは事業戦略上の最重要課題となる。

しかしその肝となるべき人材育成がうまくいっていない事業者が多い。

人事考課を取り入れてシステムを整備しているのになかなか人が育たないと嘆く管理職が多いが、実は人事考課は人を育てるのを放棄するシステムでもある・・・そこでは上司は考課表を埋めるだけで、部下を評価・指導した気持ちになるので、本当の意味で人を育てる教育をしなくなるのだ。

そもそも若いうちは、いろいろな経験を積まなければ育たない。いろんなことに挑戦して失敗を重ねながら成長していくのである。そうした失敗をするのが当たり前なのだから、それをいちいちとがめるのはおかしな話であるが、人事考課はこの失敗をとがめる評価にしかなっていない。

そんな方法では人は育たない・・・システムにも魂を入れないと形骸化するということだ。その為には叱るという教育も重要である点は、「叱れない職場の末路」で指摘したとおりである。

大手企業では魂のこもらないシステムの弊害を認識し、人事考課を取りやめてたところもある。そうした企業では一定期間、上司がマンツウマンで指導するOJTに重きを置いた人材育成システムに先祖返りさせているのである。

感情ある人間に相対する介護事業は、より一層感情ある人間による、愛情ある教育が必要であることを認識することが大事なのである。そうであるからこそ過去に人材育成に失敗した企業がとりいれた、紙の表を埋めるだけの評価・指導という呪縛から逃れなければならない。

人に相対する職業であり、感情労働と言われる介護という職業に関しては、教える側と、教わる側との感情のやり取りこそ重視されるべきでではないだろうか。

人は紙の上に存在するのではなく、今ここにある現実の中に存在するのだということを決して忘れてはならないのである。


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