先の報酬改定議論では、処遇改善加算の恩恵を一切受けられない居宅ケアマネの待遇改善が取り上げられるなど、居宅介護支援事業の改定がクローズアップされた感があり、施設ケアマネに関しては大きな変更がなかったと思っている人が多い。
しかし報酬改定・基準改正の中身を精査していくと、施設ケアマネジャーの役割がより重要となってくることが見て取れる。
例えば、科学的情報システム(LIFE)に関連する問題がある。
科学的介護推進体制加算等は、LIFEにデータ提出するだけではなく、提出した情報をもとにLIFEからフィードバックされたものをPDCA活用しなけばならない。つまりフィードバックされた内容等を、施設サービス計画書の見直しに反映させて、それを実行していかねばならないことになっている。
しかし現在までのフィードバックは、地域事情や事業規模を無視した全国平均値と、データ提出事業者の平均値の比較にしかなっておらず、PDCA活用できる代物ではなかった。
その為これまでの運営指導では、フィードバックのPDCA活用について、ほぼチェックされることなく運営指導の対象外のような扱いであった。
しかしその状況は少し変えられていく。
本年5月から7月までLIFEへのデータ提出が中断される。現在はその停止の真っ最中だ。これはシステム変更に伴う切り替え作業が行われているためである。(※提出待ちのデータは、8月1日から10月10日までの間に遡って提出することとなるので、担当者はこれを忘れないようにしなければならない。)
そして8/1〜新しいシステムでLIFE運用が始められる予定になっている。ただし新たなフィードバックの提供は10月以降とされている。
10月から行われるフィードバックとは、全国集計値だけでなく地域別等のより詳細な層別化、複数の項目をクロス集計すること等の見直しがされることで、より細かな比較が可能になるとされている。
そうした比較が、果たして科学的エビデンスに基づく介護実践につながるか否かは、疑念がぬぐえないところである。所詮は提出データと全国平均値の比較でしかないからだ。筆者から言えばそのようなフィードバックで、感情ある人に対応する科学が生まれるなて信じられないが、しかし厚労省の官僚や運営指導を担当する行政職員は、新しいフィードバックが科学的介護につながると信仰している。
そう・・・それは信念を飛び越えて、信仰化している考え方なのである。だから怖い。狂信的だからである・・・。
よって今後の運営指導では、LIFEへの情報提出と共に、フィードバックのPDCA活用の状況が、現在までより細やかにチェック受ける可能性が高く、運営指導時にPDCA活用の内容を説明できないと指導対象となり、場合によっては加算返還という事態になりかねない。
するとこのPDCA活用の担当者は誰かという問題になる・・・当然それは施設ケアマネしかあり得ない。そのため施設ケアマネは、新しいフィードバックが行われた時点から、利用者フィードバックについては、できる限りその利用者の施設サービス計画書に反映させることが求められてくる。
ここは無視したり、素通りして良いものではないという理解が必要だ。
また、『適切なケアマネジメント手法の策定・普及推進』の一環として、今年度からケアマネ関連法定研修のカリキュラムが変更されているが、そこでは基本ケアと疾患別ケアで構成するケアマネジメントの実現を図ることが求められており、それは居宅ケアマネだけではなく、施設ケアマネにも求められるケアマネジメントのあり方である。
それらを含めて、利用者の自立支援やQOL向上のための施設サービス計画書を、どんな形で作成するのかという知識を持っていかねばならない・・・これらを学ぶ機会も持ちたいところである。
ところが居宅ケアマネを対象にした研修は数あれど、施設ケアマネを対象にした研修が少ないために、多くの施設ケアマネが情報や知識を得られないという問題がある。なにしろ施設ケアマネ経験者で、そうした内容の講義ができる人材が少ないという問題があるのだ。
その点僕は、施設ケアマネ実務も経験しており、なおかつ施設ケアマネのスーパービジョンも行ってきた経験があり、今現在まで施設ケアマネを対象とした講演を数多く行っている。
今後の講演予定の中でも、10月17日(木)13:00〜16:30の予定で夕張市拠点複合施設りすたで行われる、「空知老人福祉施設協議会 介護支援専門員等部会研修会」で施設ケアマネを対象にした講演を行う予定である。(※テーマは今後決めるが、施設ケアマネジャーの役割と、施設サービス計画書の具体的内容となる予定だ。)
空知は、僕の実家があった岩見沢市の所属地域である。会場の夕張市には40年ほど前に訪問した経験があるが、それ以来となる。懐かしさも伴い楽しみにしている講演だ。
どちらにしても施設ケアマネ対象の研修講師を探している方がいれば、是非その際は僕も講師候補として検討していただきたい。
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