今年のGWの北海道は天気に恵まれた。桜の開花もいつもより早く、前半3連休のうちにエゾヤマザクラは満開となり、後半4連休には葉桜に変わってしまった。
しかしそれに代わって遅咲きの八重桜が開花し、現在は満開の花を咲かせている。
今週後半も花見は可能だろう。(※画像は5/6の僕の自宅前の八重桜)
このGW期間中に、行楽地はたくさんの人出があったが、それに対応するサービス業の人材不足は深刻化していることは、人がいる場所・いない場所でも書き記した。
このように全産業で労働力不足に陥っている我が国では、ICTを活用するなどして仕事の仕方を変革し、生産性を向上させる取り組みが必要とされている。
介護DXと介護生産性向上の取り組みも必要不可欠であり、それを推進するための施策が介護保険制度改正や報酬改定に反映されている。
そうした取り組みは急務であるし、それを否定する気持ちは全くない。だが同時に抜本的対策を中・長期的に取っていかねばならないのではないのかとも思う・・・それは労働力不足の根源である少子化対策である。
子供の日を前に総務省は4日、4月1日時点の15歳未満の子どもの数が前年より33万人少ない1.401万人で、43年連続で減ったと発表している。
総人口に占める割合も前年比0.2ポイント減の11.3%で50年連続の減少した。いずれも比較可能な統計が残る1950年以降の過去最低を更新し、75年に2723万人で24.3%を占めていた子どもの数は、50年でほぼ半減したことになる。
しかも年齢層別では、中学生にあたる12〜14歳が317万人だが、年齢が下がるほど少なくなり、0〜2歳は235万人となっているのだから、労働人口の減少は、この数字が改善しない限り続くということだ。
すると介護サービスの生産性を向上し続けても、人が減る状況の方がそれを上回り、必要なサービス提供ができなくなることは確実ともいえる。
このように少子化問題が社会保障財源や労働人口減につながっており、ここの対策が一番求められるのに、国はなにもしていないのが現状ではないのだろうか。
もっとこの問題を国民的議論に引き上げて、出生率が向上する政策を強く打ち出すべきではないのか。
例えば、フランスの政策は参考にならないだろうか。フランスの社会制度とは簡単に言えば、「産めば産むほど有利なシステム」である。
家族手当は所得制限なしで、2子以上を養育する家庭に20歳になるまで給付される。しかもこの手当は1子だけの家庭には支給されない。我が国のように児童手当が第1子から支給されるのとは異っている。
3人以上の子どもを育てている世帯に対しては大幅な所得税減税も行われている。さらに子どもを3人養育すると年金が10%加算されることになる。老後保障が子供を産んだ数で変わってくるのである。
医療保険制度も子供を産みやすい制度になっており、産科の受診料・検診費・出生前診断・出産費用など妊娠出産から産後のリハビリテーションを含め無料としている。
このように重層的に子供を産み育てる環境が整えられているのだ。
我が国でも、こうした他国の制度を見習って、少子化対策に知恵とお金をかけるべきではないのだろうか。現に介護保険制度はドイツを見習って創設したのだから、出生率を向上・回復させる制度はフランスを見習ったって良いだろう。
その効果は僕らの世代が生きている間には出ず、20年以上先にしか現れないのだろうが、日本というこの国の未来が少しでも明るくなるように、今から対策を急ぐべき問題ではないだろうか。
出生率の向上対策がない状態で、各産業に生産性の向上だけを求めても、それは国の滅亡にしか向かわない対策のように思えてならない。
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