今年のGWも今日が最終日となった。僕が住む登別市は朝一度パラっと雨が降ったが、今は雲の隙間から少しだけ陽が差している。
前半3連休と後半4連休はこんなふうに天候に恵まれたので、行楽を愉しんだ方も多いだろう。観測史上最も早く桜も開花したので、花見に出かけた方も多いのではないだろうか。
そんな中で、世間の暦に関係なく働き続けたシフト勤務者の方々には、最大限の感謝の気持ちを伝えたい。同時に代休もしっかり取って、心身をリフレッシュする機会を持っていただきたい。
僕は世間の暦に関係のないフリーランスであるが、GW期間中は世間の動きも少ないために、必然的に僕の仕事も休みとなることが多い。ただし連載原稿の執筆や、連休明けの講演スライドを作成しなければならないことが多く、デスクワークがまったくないということにはならない。
ただし今年は連休前にそれらの必要な作業を大方終えていたので、休養に充てる時間はかなりとれた。
だからと言ってどこかに出かけようとは思わない。人混みは嫌いなので家に籠って読書三昧の時間を過ごしている・・・そんな中で、とても面白かった本を紹介したいと思う。

高橋ユキ著:山口連続放火殺人事件を追う〜つけびの村・噂が5人を殺したのか?(小学館文庫)。著者は裁判傍聴を中心に事件記事を執筆しているライターである。
この本は、山口県周南市・須金・金峰地区・郷集落(しゅうなんし・すがね・みたけちく・ごうしゅうらく)という、わずか8世帯12人が住む集落で起こった殺人事件の追跡記事を書籍化したものである。
2013年7月21日、この小さな集落で一晩に5人が撲殺され、2件の家が放火全焼した事件である。本の裏表紙に書かれた概要をご覧になっていただきたい。

犯人は、この集落に住む保見光成(ほみこうせい)。既に最高裁により死刑判決が確定している。
この本が注目に値するのは、事件当時から現在まで「事実」として報道されていたものが、必ずしも正しくはなかったということをあぶり出している点にある。
例えば事件直後に何度もテレビ報道画面をにぎわし、現在もYouTube等でアップされている以下の画像・・・。

この張り紙は、犯人の自宅窓に外側に見えるように張られていたものであるが、これは事件当時、猟奇的犯行と相まって、犯人の犯行声明であるかのように報道され、今なおそうした認識をもって、ネット上で解説されていたりする。
しかしこの張り紙は、事件とは関係のない数年前の別の放火事件を揶揄した張り紙でしかないことが、集落の住民の聞き込みなどで明らかにされている。
巷に流布されている犯行動機も、40歳で故郷にUターンした犯人が、地元の住民と馴染めず、村八分んされた恨みによるものとされているが、犯人は村八分になどされていないことも明らかにされている。
僕はこのブログの記事のいくつかに、『日本の報道機関は、事実は伝えるが真実を伝えるとは限らない』と書いた記憶があるが、この本を読むと実は、日本の報道機関は事実さえも伝えていない場合があることがよくわかる。
そういう意味でも、時間があるときに一読に値するリポートだと思う。
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