先週、通所介護の送迎中に死亡事故が発生したというニュースが流された。事故概要は以下の通りである。
先週金曜日(4/12)の午後5時ころ、茨城県八千代町平塚の県道で、同町の社会福祉法人紬(つむぎ)会の「デイサービスセンターじゅげむ」の送迎車が、道路脇の住宅の塀と電柱に衝突した事故では、同乗していた利用者の女性(92歳)が下大静脈損傷で死亡したほか、70〜92歳の利用者5人が両足を骨折するなどの重傷を負い、介護士の女性(23)と運転手の男性(69)が打撲などの軽傷を負ったという。
事故現場は片側1車線の直線道路で、送迎車は走行中突然センターラインを越えて右側の塀に突っ込んだという。(※下記画像は当該事故車両と事故現場)

この事故を起こした社福法人は、公式サイトで、4 月12日 八千代町平塚でのデイサービス送迎車の事故について というお詫び分を掲載している。
ここでも書かれているが、事故原因については現時点で調査中であるとのこと。その原因がわかる前に、まずは世間一般に向けて謝罪文を公式サイトに掲載していることは、できる限り真摯に対応しようという姿勢の表れではないかと評価して良いと思う。
公式サイトがあるにもかかわらず、事故に即応して情報を流さないこと=当事者意識に欠けるとされ、それは即ち隠蔽体質につながりかねないと揶揄されるような世の風潮なので、こうした情報発信をリアルタイムで行うように努めることは重要だ・・・今後の事故再発に向けた事故原因の特定などの情報発信にも心掛けてほしいものである。
現在までの報道では、事故原因は運転手の体調不良である確率が高まっているようだ。
14日の毎日新聞ネットニュースは、事故原因につながる要素として、次のような取材内容を掲載している。
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紬会によると、運転中に運転手の意識がもうろうとなり、同乗していた介護士が「止まりましょう」と声をかけたが、その直後に事故を起こした。出発前に運転手は「調子が悪い」などと話していたが、同会は「健康診断でも問題がなく重大な疾病はなかった」としている。複数の目撃者によると、運転手は事故後、路上に倒れ込んで嘔吐(おうと)していた。
(※毎日新聞ネットニュースより転載)
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当該事故を起こした送迎車の運転手の年齢が気になるところだ・・・。介護人材不足は、介護職員の数が足りないだけではなく、介護事業に携わる様々な職種の数が足りない状況を生んでいるが、通所サービスの運転手も例外ではない。
その為、運転専門の従業員として、一度定年でリタイヤした高齢者を雇用している通所サービス事業所も増えている。そうした事業所はこの事故のニュースを対岸の火事と眺めている心境ではないだろう。
昨年9月にも、さいたま市の通所介護事業所敷地内で、明らかに加齢による認知機能もしくは運動機能の低下に起因すると思われる死亡事故が起きている(参照:高齢者を送迎ドライバーとして雇用するリスク)
今回の事故も高齢ドライバーの体調不良ということではないのかが問題だ。
それにしても送迎運転前に、「調子が悪い」と運転手が訴えた際に、「今日は運転を休みましょう」と諭すなり、運転をしないよう指示する勇気がなぜ事業所側になかったのか・・・それが残念でならない・・・それができていれば92歳の女性利用者の命は奪われることはなかったのである。
その事実は重たい・・・だからこそ、運転手がいつもと違う体調を報告し、その場合は送迎運転を行わないというルールなりシステムを創るべきである。
そのために運転前のチェックは、義務化されたアルコールチェックだけではなく、体調チェックも重要であり、特に高齢者をドライバーとして雇用している場合は、ドライバーのバイタルチェックも必要であると認識を改めてほしい。
すべての通所サービス事業者が今回の事故の教訓として、こうした対策をおざなりにしてはならないことを再認識し、事業者内でそのルールの確立を急いでほしい。
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