僕とSNSでつながっている「友達」は介護業界関係者が多い。当然のことながら、その中には介護職員の方も数多くおられる。
そんな友達の一人が夜勤明けの日に、帰宅する前にシーツ交換を命じられたそうであり、「こんなのありっ?」ていう感じでSNSにつぶやいておられた。
もしこのことがサービス残業の強要という意味なら、もってのほかであり、時間外にシーツ交換をさせるなら、当然その分は残業手当を支給しなければならないとは思う。
しかしこの問題の本質はそんなところにはないと思う。
僕自身が考えるこの問題の本質とは、今どきシーツ交換や包布交換といった誰にでもできる仕事を、介護職員の業務としているという点である。
シーツ交換や包布交換を「誰にでもできる仕事」と言うと、そうした仕事を適切に行うためには知識や技術が必要だろうという声も聞こえてきそうだが、そんな昭和の正論を振りかざす時期は過ぎている。
人材不足ではなく人員枯渇の介護業界においては、介護職という貴重な人材がやるべきことと、介護職でなくともできることを整理して、介護職しかできない業務に介護職を貼り付ける努力をしないと、介護サービスそのものが成り立たなくなる。
それほど利用者に直接的対応を行う介護職員の数は減っているのだ。
シーツ交換や包布交換は、利用者を離床させるところから始めなければならないと考えてはどうしようもない。人が足りない介護の場では、そのような非効率的業務をしていては、介護業務は回らないのだ。
シーツ交換や包布交換をするために、ベッドを利用している人を離床させるなんて非効率的なことをしなくて済むように、利用者が必ず離床する時間帯に寝具交換をすればよいのである。
時間を区切って利用者全員のシーツ・包布交換を一斉に行う必要なんてないのだから、最低1回/週の定期交換が全員行われるように、利用者の日課・生活習慣にあわせた交換のタイミングを決めておけばよいだけの話だ。看取り介護対象者でない限り、特養で定時離床を行っていない人はいないはずなんだから・・・。
しかもこうした仕事を助手活用と絡めて考える必要もない。誰にでもできる仕事は、その仕事の担い手を介護助手に限定する必要さえない。
僕が以前働いていた法人では、法人全体の運転業務・設備管理(営繕)の担当者を複数配置していた。スタッフはすべて男性職員で、他の職業を定年リタイヤした人も含まれていたが、通所サービスやショートステイ・利用者の通院などの運転業務を担当するほか、複数の事業所の設備管理(切れた電球交換・設備修理・草刈りなど)を通常業務とした。それに加えてシーツ・包布交換業務も同じく通常業務として組み込まれていた。
作業着がユニホームである男性職員が、ごく当たり前に定時のシーツ・包布交換を行っていたのである。それで何の支障も生じていなかったし、そのおかげで彼らがシーツ・包布交換を行っている最中に、介護職員は利用した利用者の対応ができていたわけである。
こんなふうにして、利用者に直接接することがない業務については、積極的に介護職員以外の従業員が担当するようにしていかないと、利用者に対する基本サービスの人手が足りなくなってしまう。そうなると生産性など向上しない。
利用者に対する介護サービスという業務が、専門知識と専門技術を持った熟練者によって効率的に行われることこそ、介護業務の生産性向上という結果をもたらす最たる方法なのだ。このことを理解しなければならない。
介護施設や通所サービスでは、運転手を雇用してところが多いのだから、運転手の他業務への活用ということも大いに視野に入れるべきである。
もはやそれが必然の時代に変わってきているのであり、昭和や平成は昔々に相成ったのである。
※別ブログ「masaの血と骨と肉」と「masaの徒然草」もあります。お暇なときに覗きに来て下さい。
北海道介護福祉道場あかい花から介護・福祉情報掲示板(表板)に入ってください。
・「介護の誇り」は、こちらから送料無料で購入できます。
・masaの看取り介護指南本「看取りを支える介護実践〜命と向き合う現場から」(2019年1/20刊行)はこちらから送料無料で購入できます。
新刊「きみの介護に根拠はあるか〜本物の科学的介護とは」(2021年10月10日発売)をAmazonから取り寄せる方は、こちらをクリックしてください。