今年度の運営基準改正で、2021年度に新設された居宅介護支援事業所の運営基準が早々と変更された。

前6か月間に作成したケアプランにおける、訪問介護、通所介護、地域密着型通所介護、福祉用具貸与(以下、訪問介護等という。)の各サービスの利用割合及び前6か月間に作成したケアプランにおける、訪問介護等の各サービスの、同一事業者によって提供されたものの割合(以下、訪問介護等の割合等)の説明が義務から努力義務に変更されているのである。

このことについてQ&A・Vol1の問120では、重要事項説明書 に、「第●条 当事業所のケアプランの訪問介護、通所介護、地域密着型通所介護、福祉用具貸与の利用状況は別紙のとおりである。」と記載したうえで、下記図のような別紙を作成し説明することを例示している。
前6か月間に作成したケアプランにおける福祉系サービス割合説明
居宅介護支援事業所の介護支援専門員(以下、居宅ケアマネと略)の方々は、まじめな方が多いので、このQ&Aを読んで同じように説明しようと、書類作成に取り掛かった人も多いだろう。

だがその前に、なぜこの説明が義務から努力義務に変更されたのかということを考えてほしい。

この説明義務が課せられたのは2021年度の基準改正時である。それがわずか1期(3年)で変えられているのだ。

それはとりもなおさず、この基準があまり役に立たなかったという意味である。

もっと本当のことを言えば、この基準は利用者利益には結びついていないだけではなく、逆に利用者から迷惑に思われていたという実態があるのだ。

説明を受けた利用者の声の多くは、「そんな説明に何の意味があるのか?」・「そんな説明を受けても意味が分からない」・「自分には関係のない説明だ」というものだ。

中には説明を受けて自分が利用しているサービスの変更を勧められていると勘違いし憤慨したり、混乱する方も居られた・・・利用者にとって時間の無駄で、何の役にも立たない説明になってしまっていたのである・・・この状況からみると、義務化は間違いであったとして元の戻すのが筋だ。

しかしそれでは前回基準改正して義務化した厚労省の面子がたたない。だからこそ努力義務に落として一件落着とすることで、お茶を濁したという経緯があるのだ。

よってQ&Aで示されたような説明をまじめにする必要はないのだ。

そもそも居宅ケアマネは毎日過酷な業務をこなしている。利用者の暮らしを護るために頭脳も酷使している。今年度から担当者数が増えて、その状況にさらに拍車がかかっている人も多い。

よってやらなくても良いことはしなくても良いのだ。努力義務とは、しなくとも運営指導の対象にならないという意味だ。

そのような努力義務に目を向けていなくとも、それは努力していないのではなく、もっと大事な仕事をこなしているという意味である。

繰り返しになるが、この説明は利用者利益にはなっておらず、むしろ迷惑なのだ。

だから居宅ケアマネの皆さん・・・どうか胸を張って、この努力義務はスルーしましょう。


※別ブログ「masaの血と骨と肉」と「masaの徒然草」もあります。お暇なときに覗きに来て下さい。

北海道介護福祉道場あかい花から介護・福祉情報掲示板(表板)に入ってください。

・「介護の誇り」は、こちらから送料無料で購入できます。


masaの看取り介護指南本看取りを支える介護実践〜命と向き合う現場から」(2019年1/20刊行)はこちらから送料無料で購入できます。
きみの介護に根拠はあるか
新刊「きみの介護に根拠はあるか〜本物の科学的介護とは(2021年10月10日発売)Amazonから取り寄せる方は、こちらをクリックしてください。