3/22に「相談援助職の役割と業務が増す新年度」という記事を書いて、施設サービスにおける相談援助職の仕事量が大幅に増えそうだということを論評した。
そこでも少し触れているが、今回の基準改正と報酬改定における新加算では、医療機関との連携が求められることから、そのことに付随する相談援助職の役割がより重要になってくる。
協力医療機関指定義務化によって、年に1回以上、協力医療機関と入所者の急変時等における対応を確認しなければならなくなるが、この確認担当者は誰になるのか・・・相談援助職がその役割を担う施設が多くなるのではないのか?
新興感染症発生時等の対応を行う医療機関との連携で義務付けられた、「新興感染症の発生時等における対応について協議」についても、医療機関側とやり取りについての担当窓口も、相談援助職にその役割が振られてくるのではないだろうか・・・。
また新設された協力医療機関連携加算は、是非とも算定したい加算であるが、算定要件では協力医療機関との間で入所者等の病歴等の情報を共有する会議(※概ね月1回以上開催。ただし、電子的システムにより当該協力医療機関において、当該施設の入所者の情報が随時確認できる体制が確保されている場合には、定期的に年3回以上開催する:オンライン可)を行う必要がある。
この情報共有会議には看護職員が参加することになるのか・・・そうする施設もないとは言えないが、利用者情報のやり取りということで言えば、相談援助職がその専門家であり、ここも相談援助職が対応せざるを得ないなるのではないだろうか。
さらに新設された退所時情報提供加算(250単位/回)についても、医療機関に提供する情報は、退所入院する入所者等の心身の状況に加え、生活歴等を示す情報とされているのだから、これも相談・援助職が退所時情報提供書の指定様式を記入して医療機関に送る必要があるだろう。
このように相談員援助職の仕事量は、「いったいどれだけ増えるの?」といいたくなるほど増大しかねない。
しかも今後の介護施設運営のキィーは、いかに空きベッドをつくらずに経営できるかにかかっている。単年度赤字の施設の多くに複数の空きベッドが生じ、長期間に渡ってそのベッドが埋まらないという事情がある。
物価高に対応するほど基本サービス費の単価が上がらなかった状況において、こうした空きベッドを生じさせては、新設加算や新設上位加算をいくら算定できたとしても収益は挙がらない。空きベットの存在が経営困難につながると言ってよいのだ。
つまり今後の介護施設経営は、相談援助職のベッドコントロールの役割が生命線となるといっても過言ではないのだ。
こうした重要な役割が求められる相談援助職の業務負担が増える中で、経営者や管理職は相談援助職がバーンアウトしないように対策を急がねばならない。
例えばテレワークを適切に導入することもその対策の一つに挙げられる。介護保険最新情報Vol.1237は管理職以外のテレワークの在り方を示した通知だ。(※管理職については、介護保険最新情報Vol.1169で明示済み)
ここでは介護職員、看護職員、リハ職らの利用者を直接処遇する業務については、「原則テレワークは認められない」と規定している。
逆に言えば、これらに該当しないケアマネをはじめとした相談援助職はテレワークが広く認められるという意味である。
同通知には、利用者の処遇に支障が生じない範囲内の考え方なども明示されているので、こうした要件に沿ったうえで、適切にテレワークを取り入れて、相談援助職の業務負担を少しでも減らすという考え方を取り入れてほしい。
こうした配慮を重ねていかないと、介護の場から人材が枯渇してしまうほどの労働力不足が全産業を通じて生じていることを忘れてはならないのである。
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