2024年度の介護報酬改定では、LIFEへのデータ提出頻度の見直しが行われる。
現在、加算ごとに異なる情報提出頻度を、「少なくとも3か月に1回」と統一するとともに、同一の利用者に対して複数の加算を算定する場合のデータ提出頻度を統一できるよう、例えば、月末よりサービス利用を開始する場合であって、当該利用者の評価を行う時間が十分確保できない場合等、一定の条件の下で、提出期限を猶予するという取り扱いが行われることが、下記図で示されていた。

これによって、現在3か月に1回しか情報提出の必要がなかった、「科学的介護推進体制加算」や「自立支援促進加算」等の情報提出頻度が増えるわけである。
加算ごとに共通している情報を整理して、情報入力量を少なくし、入力担当者の業務負担を減らすと言いながら、情報提出頻度自体は増えるわけだから、担当者の負担は増える結果となる・・・国のやることはいつもこんなふうであり、建前と実態の乖離が多すぎると思う。
ところで情報提出頻度が増える加算の、新年度以降の情報提出の起点がいつになるのかが問題であったが、令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)(令和6年3月15 日)によってその時期が明記された。
105頁の問 175 を参照願いたい。
問 175 :科学的介護推進体制加算のデータ提出頻度について、少なくとも6か月に1回から3か月に1回に見直されたが、令和6年4月又は6月以降のいつから少なくとも3か月に1回提出すればよいか。
(答)
・ 科学的介護推進体制加算を算定する際に提出が必須とされている情報について、令和6年4月又は6月以降は、少なくとも3か月に1回提出することが必要である。
・ 例えば、令和5年2月に提出した場合は、6か月後の令和6年8月までに少なくとも1回データ提出し、それ以降は3か月後の令和6年 11 月までに少なくとも1回のデータ提出が必要である。
↑この例をもとに考えると、令和4年10月に提出した場合は、6カ月後の提出が4月になる。そしてその時点で新年度となっているのだから、4月を起点にした3月後の7月までにデータ提出が必要になる。
このようにデータ提出時期の切り替えの起点は、明らかになったところである。
もう一つの問題は、「月末にサービスを開始した場合に、科学的介護推進体制加算のデータ提出期限に猶予期間を設けることで、評価やデータ提出のタイミングを揃える」という扱いの、「月末にサービスを開始した場合」の定義である。
これは103頁に掲載されている次のQ&Aで示されている。
問 171: 月末よりサービスを利用開始した利用者に係る情報について、収集する時間が十分確保出来ない等のやむを得ない場合については、当該サービスを利用開始した日の属する月(以下、「利用開始月」という。)の翌々月の 10 日までに提出することとしても差し支えないとあるが、利用開始月の翌月の 10 日までにデータ提出した場合は利用開始月より算定可能か。
(答)
・ 事業所が該当の加算の算定を開始しようとする月の翌月以降の月の最終週よりサービスの利用を開始したなど、サービスの利用開始後に、利用者に係る情報を収集し、サービスの利用を開始した翌月の 10 日までにデータ提出することが困難な場合は、当該利用者に限っては利用開始月の翌々月の 10 日までに提出することとしても差し支えないとしている。
・ ただし、加算の算定については LIFE へのデータ提出が要件となっているため、利用開始月の翌月の 10 日までにデータを提出していない場合は、当該利用者に限り当該月の加算の算定はできない。当該月の翌々月の 10 日までにデータ提出を行った場合は、当該月の翌月より算定が可能。
・ また、本取扱いについては、月末よりサービスを利用開始した場合に、利用開始月の翌月までにデータ提出し、当該月より加算を算定することを妨げるものではない。
・ なお、利用開始月の翌月の 10 日までにデータ提出が困難であった理由について、介護記録等に明記しておく必要がある。
↑例示として最終週よりサービス開始とされているが、例えば最終週が2日しかなかった場合で、その前週にサービス利用した場合はどうなのかという疑問を持つ人も多いのだろうが、ここは最終週という文言にこだわらずに、「最終週よりサービスの利用を開始したなど」の文章では、「など」とされていることを理解したうえで、「利用者に係る情報を収集し、サービスの利用を開始した翌月の 10 日までにデータ提出することが困難な場合」に着目すべきである。
最終週の前の週であっても、サービス利用開始日からデータ提出期限まで日数が極めて短く情報収集が困難であることを介護記録に残せば、データ提出は猶予できると考えればよい。
ただしこの場合は、サービス利用開始月のデータが提出されないことから、利用開始月の加算は算定できないことになるので、経営者としては、従前と変わりなくなんとしてでもサービス開始月のデータ提出を、サービス開始月の翌月10日までに行ってほしいと思い、事務担当者にそれを強いることがあることも考えられる。
どちらにしてもLIFEへの情報提出事務を担当する人は、まったく業務負担が減らないどころか、業務量と精神的負担の両方が増えることになりそうである。
お気の毒としか言いようがないが、せめてそれらの従業員の方の給与を、できるだけアップしてくださいとお願いしておこう。
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