来年度からの基準改正で介護保険3施設⦅特養(地域密着型含む)・老健・介護医療院⦆は、3年間の経過措置を設けたうえで、下記の(1)から(3)の要件を満たす協力医療機関を定める義務が課された。
(1)入所者の急変時などに医師や看護職員が夜間休日を含めて相談対応する体制が確保されていること
(2)診療の求めを受け、夜間休日を含めて診療が可能な体制を確保していること
(3)緊急時に原則入院できる体制を確保していること
※ 複数の協力医療機関を定めることで(1)〜(3)を満たすことも可
このうち(3)については、「必ずしも当該介護老人福祉施設の入所者が入院するための専用の病床を確保する場合でなくとも差し支えなく、一般的に当該地域で在宅療養を行う者を受け入れる体制が確保されていればよい。」(解釈通知)とされたことで、ハードルはさほど高くないと考えられる。
こうした医療機関と定期的(年1回以上)に緊急時の対応等を確認し、医療機関名等について指定権者(許可権者)に提出しなければならないというのが、今回設けられた新たな義務だ。
ただし解釈通知では、「連携する医療機関は、在宅療養支援病院や在宅療養支援診療所、地域包括ケア病棟(200床未満)を持つ医療機関、在宅療養後方支援病院等の、在宅医療を支援する地域の医療機関(以下、在宅療養支援病院等)と連携を行うことが想定される。なお、令和6年度診療報酬改定において新設される地域包括医療病棟を持つ医療機関は、前述の在宅療養支援病院等を除き、連携の対象として想定される医療機関には含まれないため留意すること。」とされていることには注意が必要だ。
さいわい在宅療養支援病院や地域包括ケア病棟を持つ医療機関は、ここ数年間でかなり増えているので、3年間の経過措置期間の中で連携先医療機関を探すことは可能だろう。
現に僕が9年前まで総合施設長を務めていた社会福祉法人の母体は、精神科医療機関であるが、ここも「地域包括ケア病棟(200 床未満)を持つ医療機関」に該当しているので、年度替わりに即、連携をとることが可能である。
だが現在協力医療機関として、入所者の診療などを行ってくれている医療機関が在宅療養支援病院等に該当しない場合は、その医療機関との協力関係を白紙にして、別の在宅療養支援病院等を探して連携する必要がある。
それは義理人情も絡んでくる問題で、決して容易なことではない。だからこそ3年の経過措置期間が必要なのだろう。難しい問題ではあるが、ルールがそうなってしまったのだから、全力で連携先を探さねばならない。
この連携を組むことのメリットは加算算定にも及んでくる。
例えば新設された協力医療機関連携加算は、入所者の病歴等の情報共有や急変時等における対応の確認等を行う会議を定期的(※概ね月に1回以上開催されている必要がある。ただし、電子的システムにより当該協力医療機関において、当該施設の入所者の情報が随時確認できる体制が確保されている場合には、定期的に年3回以上開催)に開催することで算定できるが、特養の場合、上記の連携要件をクリアした医療機関と会議を行う場合は50単位(令和7年3月31日までの間は100単位)の算定となるが、それ以外の医療機関と会議を行う場合は、わずか5単位しか算定できなくなる・・・この違いは大きい。
しかも本加算における会議は、指定介護老人福祉施設基準第28条第2項に規定する、入所者の病状が急変した場合の対応の確認と一体的に行うこととしても差し支えないとされているので、連携先と行うことが最も合理的となる。
是非とも連携先を早急に定めて、協力医療機関連携加算も1月でも早く高い単位を算定したいものである。
なお会議は、テレビ電話装置等(リアルタイムでの画像を介したコミュニケーションが可能な機器をいう。以下同じ。)を活用して行うことができるので、毎月であったとしても3月ごとであったとしても、そのハードルは対面会議よりも低くなるので、このルールを活用したいものである。
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