基準省令の改正によって今年4月以降、居宅ケアマネのモニタリング訪問は、利用者がテレビ電話装置等を介して意思疎通ができること(※家族のサポートがある場合も含む)などの要件を満たせば、介護給付も予防給付も2回に1回はテレビ電話等を利用したモニターによる方法が認められる。
これによって居宅ケアマネは、毎月行っていた利用者宅の訪問モニタリングを、2月に1回に減らすことができるわけである。
自宅訪問の回数が減ることは、移動するためだけの時間が削減できることになり、その分他の業務に時間をかけることができる。低減性の再緩和によって担当利用者を増やすことができるルールを利用したいと思っている居宅ケアマネは、この新ルールを利用して、増加した利用者のプラン作成時間を捻出したいと思っていることだろう。
しかし問題は、利用者がテレビ電話等を利用して居宅ケアマネと意思を交わすことができるのかという点である。
テレビ電話等と言っても、その方法は限られてくる。一般的に普及しているオンラインコミュニケーションツールはZoomやTeamsだろうから、それらのアプリを利用者にも使いこなしてもらわなければ新ルールは使えない。
居宅介護支援を受けている利用者で、スマホやタブレットを使っている人は増えている。しかしこれらの人がスマホ等を利用して行っていることは、電話機能を使うこととネット検索をすることが主である。アプリを使いこなしている人は少ないし、ましてやオンラインで双方向のコミュニケーションを交わした経験のある人は、もっと少なくなる。
そうしたアプリを使いこなすための指導に時間を取られるとしたら、居宅ケアマネの仕事量は逆に増えて、藪蛇という状態になりかねない。
大規模事業所で、ICTに精通した複数のケアマネや事務員が配置されて居れば、それらの人が利用者に集中的にレクチャーを行い、オンラインモニタリングを行うことができる人を増やすことは可能だろう・・・しかし一人親方など、小規模の居宅介護支援事業所では、なかなかそのような時間は取れない。
そこで活躍できるのが通所サービス事業者ではないだろうか。
例えば通所介護事業所で、認知症予防の機能訓練としてZoomを利用できるようにするサービスメニューを提供することは、利用者にも歓迎されるのではないだろうか。
Zoomといアプリがあることを知らない人、知っていても興味がない人、興味があるけれど使い方が難しいと敬遠している人・・・様々な人に、やさしくアプリの使い方を教えることで、利用者は興味を持ってくれるだろうし、それは心身活性化メニューともなり得る。
そうした形で通所介護の人気サービスメニューとなるのではないだろうか。
3/4の更新記事、「通所介護は実質マイナス改定。」で指摘したように、通所介護は顧客数を増やして、スケールメリットが最大限働く形で収益を上げていくしかない。
それをしないと令和6年度からの3年間の経営は非常に厳しいものとなる。
そのためには、なかなかサービス利用に結びつきづらい男性要介護者の確保が一番の課題だ。その人たちが魅力を感じて、積極的に利用してくれる通所介護とは、どのようなサービスを提供する事業所なのだろうか。
レスパイトケアに偏って、利用者の満足度にスポットを当てていない事業所には顧客は寄り付かないし、「チィーチィーパッパ」の大人を馬鹿にしたサービスメニューしかない事業所は利用者が減る一方で、どんどん淘汰されていく時代なのである。
そうした時代であるからこそ、認知症予防効果がある機能訓練メニューとして、スマホやタブレットを使ってアプリをDLし、そのアプリを使いこなすサービスメニューは魅力的に映る可能性がある。
そこにZoom教室も組み入れて、「このアプリを使いこなせれば、担当ケアマネさんとのコミュニケーションもテレビ電話を通じてできることになりますし、担当ケアマネさんも喜んでくれますよ。」と呼びかけたら、そのことに魅力と動機づけを感ずることができる人は少なくないのではないか。
そもそも通所介護事業者が、そうしたサービスメニューを組み入れて、利用者がZoomを使いこなすようになることは、居宅ケアマネにとっても歓迎することであると思う。
そうであれば、そうしたサービスメニューを持っている通所介護事業所に、利用者を数多く紹介してくれる結果に結びつくかもしれない。
通所介護関係者は、こうしたサービスメニューの導入を真剣に考えてほしい。そしてそのためには、通所介護に常備する物品として、タブレット端末は必要不可欠であるとも考えてほしい。
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