先週からこのブログの中でお知らせしている、函館市の特養における身体拘束に関連して続報が入ってきた。(参照:身体拘束は虐待ではないと強弁する恵山恵愛会・理事長 ・ その点滴や経管栄養は本当に必要なのかという視点

函館市の特別養護老人ホーム「恵楽園」で職員が一部の入居者に不適切な身体拘束を行っていた問題に関し、この事実を同市に内部通報したことを理由に違法に懲戒解雇されたとして、元職員の女性が施設の運営法人を相手取り、慰謝料など165万円と職員としての地位確認などを求める訴訟を函館地裁に起こすそうである。

女性は昨年10月、同施設で入居者のベッドを柵で囲うなどの身体拘束が日常的に行われていることや、職員が入居者に「くたばれ」「死ね」といった暴言を吐いていたことなどを同市に内部通報した。その後、同法人に退職を勧められ応じなかったところ、同12月に「施設利用者や同僚にハラスメント行為を繰り返した」と身に覚えのない理由で懲戒解雇されたという。

当初この法人の理事長は、身体拘束を行ったのは人手不足が原因で、虐待の意識はなかったと強弁していたが、職員が入居者に「くたばれ」「死ね」といった暴言を吐いていたことが事実であるとしたら、身体拘束もそうした虐待行為の成れの果てという意味でしかないように思う。

そもそも人手不足を身体拘束の理由にすること自体が理解できないが、人手が足りないからこうした不適切な状態になったということではなく、利用者の人権や尊厳を護ろうという意識がない場所で、不適切行為が虐待に発展しているからこそ、そこに人材が集まらなくなり、さらにサービスの質が下がるという負のループが生まれているのではないのだろうか・・・。

そのようなニュースが報道された折も折、今朝の北海道新聞・朝刊では、「介護施設人材争奪戦」と題する特集記事が書かれており、カフェのような職員休憩室や、長期間のリフレッシュ休暇などの多様な特典で、職員を囲い込む取り組みなどが紹介されている。
カフェ風職員休憩室
労働環境をより良くしていく取り組みは必要だろう。他の介護事業者との差別化を図っていかないと、人材が張り付いてこない時代であることにも異論はない。

しかし休憩室の環境改善は、いずれその環境に慣れてしまえば特段の魅力とは言えなくなるのではないだろうか。そもそもそうした環境づくりは、やろうと思えばどこの事業者でも取り入れられることだ。大きな差別化にはならない。

長期間のリフレッシュ休暇取得を喧伝して、応募者が一時的に増えている介護施設のオーナーが自己満足している事例は多いが、長期的にみるとそれらの施設の人材不足は解消するどころか、深刻化していることが多い・・・休暇取得ができるという一面は、休暇をとっていない期間中に、休暇取得者の仕事をカバーしなければならないということに繋がり、逆に過重労働となってしまうのである。

それは介護バーンアウトの一番の原因と直結していく。

そうしない方法で、より他事業者との差別化を図って、人材が張り付く方法を考えるならば、対人援助という仕事に携わろうとする動機づけとリンクした考え方が求められる。

職業として介護を選ぶ人が何を求め、逆に何に挫折するかを考えた対策である。

他産業より平均賃金が低く、労働環境も決して良くないと言われる介護事業で、『働きたい』という動機づけとは、人の役に立って社会に貢献したいという動機づけである。

そんな若者が就職先で、先輩職員が利用者を物のように扱い、介護ではなく作業を機械的にこなす姿を見て、「介護という職業は、人の役に立つ仕事ではなかった」といって辞めていくのである。

先輩職員の利用者に対するタメ口や罵りのような汚い口調に、ストレスを感じて辞めているのである。

逆に言えば、利用者に対するサービスマナー意識が浸透し、言葉かけや対応が丁寧な職場を、志が高い若者は求め、そういう職場で働きたいと望んでいるのだ。

そうであれば、徹底的にサービスマナー教育を行い、それを基盤に利用者の人権と尊厳を護ることが、本音で行われている職場づくりをすることこそ、有能で将来法人の財産となり得る人財が張り付き、定着する職場になるのである。

職場全体で利用者の人権意識を高め、サービスマナーを徹底することで、ホスピタリティ精神を育む職場づくりは、口で言うほど簡単ではなく、そのハードルは高い。だからこそ実現できれば大きな武器になるし、他の介護事業者との大きな差別化につながるのである。

そうした環境づくりのための、サービスマナー教育のお手伝いもしているので、ご用命のある方は是非気軽にメールで連絡してほしい。まずは気軽に問い合わせから始めてもらいたい。

メールは公式サイトの右上の📩マークをクリックしていただきたい。


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