2024年度の介護報酬改定で、訪問介護の基本サービス費が下げられたことに批判的な声が挙がっている。

次の改定に備えて抗議の声を挙げておくことはやぶさかではないが、同時に不平・不満ばかり言っていても始まらないと思う。答申された報酬単価が変更されるわけではなく、決定した報酬単価の中で何ができるのかを考えなければならない。

訪問介護は加算新設がされておらず、特定事業所加算に新たに算定可能な区分ができただけなので、基本報酬の削減分をカバーする方策はほとんどない。そのため顧客をできるだけ多く確保し、重度化シフトして生活援助より身体介護をより多くサービス提供できるようにしていくしか手はない。

場合によっては、訪問介護単独経営は成り立たないとして、経営戦略自体を見直していく必要もあるのではないかと思う。

こうした厳しい状況は訪問介護に限った問題ではない。今回のプラス改定は、施設サービスにより手厚く財源が回された感があり、他の居住系サービスや居宅サービスは厳しい経営が迫られる事業が多いのではないか。

報酬全体を眺めてみると、実質マイナス改定ではないかと思えるサービスが垣間見られるのである。

例えば通所介護費である。通所介護費(7〜8時間)で見ると、基本サービス費は3単位〜6単位のわずかなプラス改定でしかない。

しかも今回、通所介護には新設加算が創設されなかった。そして既存加算の上位加算も新設されていない。

よって基本サービス費と従前加算の組み合わせで収益を上げていくしかない。ところが従前加算のうち、個別機能訓練加算気離は、85単位/日から76単位/日に減算されている。
通所介護の危機
その理由は、2人配置しなければならない理学療法士等のうち、現行基準ではそのうち1名については、サービス提供時間を通じて機能訓練指導員として専従しなければならなかった。今回この規定を配置時間の定めなしと変更したことが、加算算定額を減ずる理由としている。

しかしこれは乱暴だ。人がいない時代にあわせた人材活用のために、サービス提供時間を通じた専従ではなくても良いとしたといっても、今現在、サービス提供時間を通じて機能訓練指導員として勤務している人に、「算定単位が減ったから配置時間も減らすので、減らされた時間は別なところで機能訓練をしてくれ」と簡単には言えないし、できない事情があるというものだ。

しかしそうした理不尽な理由で、加算単位が9単位も減らされている。つまり現在、個別機能訓練加算気離を算定している事業所は、基本サービス費の引き上げ分が呑みこまれて、3単位〜6単位のマイナス改定という結果となるのである。

しかも科学的介護推進体制加算のデータ提出の頻度は、年2回から4回に増やされている。さらに入浴介助加算気砲蓮入浴実務研修の受講義務も課せられた。(※同じく介護職員が入浴介助を行っている通所リハビリの入浴介助加算気砲呂海竜遡海浪櫃擦蕕譴覆ったことも大きな矛盾である

このように業務負担は増加させられるのである。

それなのに物価高で経営コストが大幅に増えているにもかかわらず、介護報酬は実質削減されることになる。これは非常に規模しい状況を生み出すと言って過言ではない。

例えば、福祉医療機構が貸付先の5.744事業所の決算などを分析したレポートが2/28に公表されているが、それによると、昨年度の赤字事業所の割合は49.6%とされている。

この状況にさらに拍車がかかり、単年度赤字の事業所が増える可能性が高い。

だが一方で、わずかながら光が見える部分がある。それは団塊の世代の人々が、今年全員75歳以上に達するという社会状況である。

この大きな塊の世代の人が後期高齢者になり、通所介護の利用ニーズを持つ方も大幅に増えるということになる。

利用者ひとりひとりから得られる収益は減ったとしても、顧客数を増やすことで収益が挙がるかもしれない。コストパフォーマンスの高い事業規模に拡大することは、国の誘導策でもあり、先々の報酬改定では、そうした流れに乗った事業所が収益を上げられる報酬体系・構造に変わっていく可能性が高い。(参照:事業規模拡大誘導への布石

その為には、団塊の世代の人々のニーズに合致したサービスを提供し、その人たちの心を掴んで離さないサービスメニュに転換していくことも必要とされる。

具体的にそれは、どんなサービスメニューだろう・・・近日中にそのことを少し考えてみるようなブログ記事も書いてみようと思う。通所サービス関係者の方々には、是非その記事も参照してもらいたい。


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