生産年齢人口の減少に歯止めがかからない我が国では、全産業で労働力不足が深刻化する。

こうした社会情勢を冷静に見つめた場合、介護事業においても必要な人材数を確保することは困難といわざるを得ない。

国もそのことは当然わかっているので、人がいない時代の介護の在り方を制度改正・報酬改定において模索している。

その為、2042年頃まで増え続ける要介護者が介護難民とならないような対策として、介護事業における生産性を向上させる取り組みを様々な形で組み入れていくことになる。

ICTやIA搭載ロボットなどのテクノロジーを最大限利用して、それらが人に替わって行うことのできる範囲を広げていかねばならない。またそれらのテクノロジーを使いこなして、より効率的に業務をこなすための従業員の意識改革と、働き方改革も求められてくる。
介護DX
その為2024年度の報酬改定では、新処遇改善加算の全区分に求められる職場環境等要件生産性向上のための業務改善の取組について、新たな義務要件(※17もしくは18のどちらかは必ず実施しなければならない)等が設けられると共に、複数サービス横断的に「生産性向上委員会」の設置義務が課せられ、それに対応する加算も新設された。

先日アップした記事、「生産性向上推進体制の整備が必須の時代に」で解説した生産性向上推進体制加算(機100単位/月生産性向上推進体制加算(供10単位/月がその象徴だ。

そういう意味で、2024年度はまさに介護DXに向けた生産性向上元年といえるのではないだろうか。

だが何度もこのブログで指摘しているように、介護事業における生産性の向上を、業務時間の短縮や人員削減という目的を前面に出して、それを実現することだけを考えてしまえば、利用者の意向やニーズを無視した事業者側の作業優先対応に陥ってしまう。

そこでは何度も同じ訴えを繰り返す認知症の方の対応も、「無駄である」として切り捨て、小さな危機の訴えは見逃され、ニーズは闇に葬られていくだろう。

そこには介護の質も存在せず、豊かな暮らしを支えることとは程遠い、最低限の暮らしの中で生きながらえさせることが介護支援と勘違いする輩も生まれてくるかもしれない。

そうならないように、「介護の生産性向上とは、労働力が減って介護人材が十分確保できない時代であっても、働き方を改革して、できる限り利用者福祉の低下を招かないようにするために必要とされていることだ。」という意識を持たねばならない。

その為に、足りなかった対策を積極的に取り入れ、今までと働き方を模索し、業務改善・職場環境改善に努めていくという考え方が必要だ。

人に替わることができるテクノロジーは積極的に利用すべきであるし、そこにはお金をかけるべきだ。「使える機器導入促進は介護事業経営者と管理職の責務」で指摘したように、見守りセンサーインカム高性能おむつ自動体位交換器などは積極導入を図らねばならない。

看護職員の夜間オンコール体制をアウトソーシングすることも必然だろう。(参照:特養DXは夜間オンコールの外部発注から

その他にも、快適な職場環境につながる5S運動整理整頓清掃清潔しつけ)などはすぐにでも実践できる。こうしたことを早急に取り組む心構えと実践力があるか否かが、今後の介護事業経営の行方を左右すると言ってよいだろう。


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