2024年度の介護報酬改定率は全体でプラス1.59%となった。

こうのち処遇改善分が0.98%含まれているので、本体報酬の改善分は+0.61%にしかならず、これは2021年の+0.7%の改定率より低いと評価されている。

しかし21年の+0.7%の中には、処遇改善分も含まれている。前回は今回と異なり、本体と処遇改善分が分けて示されていないが、本体報酬は確実に前回よりアップしている。

さらに8月からは、介護保険施設等の光熱水費等0.45%プラス分が上乗せされるため。この分を勘案すると改定率は+2.04%相当になる見込みである。

この数字は、消費税対応の臨時改定を除くと、過去2番目に高い改定率である。

そのことは様々な媒体でアナウンスされており、僕自身も自分が行う講演でアナウンスしているので、その数字自体を知らない人はいないのではないだろうか。

しかし・・・である。僕自身、壇上で改定率を口にしながら、その数字にあまりピンとこないというのが本当のところだ。
介護給付費
そこで言う何%という数字が何を意味しているか、すぐにピンとくる人は何人いるんだろう。

2022年度の介護給付費の総額は、11兆2.000万円であるそうだから、おそらく2023年度は12兆円を超えているのだろう。

そうなると1%は1.200億円といういうことになるのか?だが億単位の数字になると、やはりピンボケしてしまう・・・。

僕の頭の中でイメージが鮮明になる金額は、せいぜい〇千万円単位までだろう。その数字くらいだと介護事業者の年間予算や、そこでのバランスシートの数字が浮かんできて、かなり明確に予算組等がイメージできてくる。

今回の報酬改定で言えば、特養は従来型個室で16単位から24単位上がっているが、要介護1と2の利用者は特例入所と経過措置者しかいなくなっており、平均22単位の増加という特養が多いだろう。

その場合年間ベッド稼働率を9割維持すると、100人定員施設では、220円×100人×365日×0.9=7.227.000円となり、基本サービス費だけで700万円以上の収入増であるとイメージできる。

あとはいかに加算を積み上げるのか、ベッド利用率を維持するのかが問題となり、自ずとそのことが経営戦略に繋がっていく。

どちらにしても新報酬単価はサービス種別によってメリハリがつけられており、今回は昨年公表された介護事業経営実態調査で、令和4年度の収支差率がマイナスとなった施設サービスに多くの財源が回される結果となった。

その為収支差率が7.8%と高かった訪問介護の基本サービス費がマイナス改定となるなど、大きな格差が生ずる改定となっている。

その中で介護事業経営者は、全体の改定率を注目しつつも、それ以上に現在サービスを利用している人の、報酬単価が4月以降どう変わるかを計算し、必要な対応(加算算定や加算区分の変更等)に向かって準備を整えていく必要がある。

何より大事な事は、介護事業経営者や管理職は評論家ではないのだから、いつまでも決定した報酬構造を嘆いている暇なんてないということだ・・・日本介護福祉士会は現時点でもなお、訪問介護費の基本サービス費の引き下げについて、恨みつらみを述べ続けているが、それが世論を喚起し社会を動かすなんてことはないのである。

決まった現状を受け入れて、その中で従業員と利用者を護るための最大限の努力をしなければならない。

評論・評価は、経営実務ができない学者と評論家に任せておけば良いのである。

介護事業経営者や管理職は、そういう連中よりもっと重要で意義深い仕事を沿ているという自負と誇りをもって、厳しい時代の介護事業経営に努めていただきたい。


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