客が理不尽な要求をするカスタマーハラスメントについて、防止に向けた条例の制定を検討する都道府県が増えている。

このことは介護業界でも問題になっており、訪問系サービスでは利用者宅でサービス提供者が理不尽な要求をされたり、暴言を受けたりするケースの対策が急がれた。

そのため2021年の介護報酬改定時に、全ての介護サービス事業者に、適切なハラスメント対策を求める基準改正が行われた際に、併せて留意事項通知において、カスタマーハラスメント防止のための方針の明確化等の必要な措置を講じることが推奨された。

これは非常に重要なことで、「相手はお客様なんだから、多少の理不尽なことは我慢しろ」という安易な考えが、大きな事件につながりかねない。
カスタマーハラスメント
実際に過去には、利用者宅で訪問介護員が暴行殺人の被害者になっているケースも複数あるのだから、顧客だからといって過度な要求、理不尽な態度は許さないという態度は必要である。

僕自身も何度も従業員を護るために、毅然と利用者の家族に対応したこともある。(参照:クレームは頭を垂れるだけで解決しないこともある。

介護事業経営者や管理職のそのような毅然とした態度が従業員を護るために求められている。

ただし毅然と対応するためには、それなりの前提条件があることを忘れてはならない。

それは常日頃の顧客対応に粗相があってはならないということだ。

私たちはボランティアではなく、対人援助のプロとして利用者と相対している。そうであれば私たちは、利用者に介護サービスを提供するのではなく、介護サービスを売っているのだ。

よって私たちがサービスを売る相手は、利用者ではなく顧客である。

そのように顧客意識を正しくもって、お客様に対して失礼のない態度を貫き、常に真摯に接することができているという前提があってはじめて、顧客による理不尽な対応に対して毅然と対応できるのである。

そうした真摯な態度に欠け、マナーの欠片もない態度に終始しているのであれば、顧客に常日頃し連れに接しているのであるから、顧客から失礼で理不尽な態度をとられたとしてもお互い様である。

そこでは毅然と対応するなんてことはできないのである。

サービスマナー意識のない従業員が、常日頃から馴れ馴れしい無礼なタメ口で接している中で、顧客の態度が悪いとか、問題だとか指摘しても何の説得力もない・・・どの口がいっているのだと云われて終わりである。

だからこそ従業員に対するサービスマナー教育は最重要になるのである。

お客様に失礼な接し方をしないことで、カスタマーハラスメントを受ける可能性も低下するだろう。それでもなおかつカスハラ被害に遭った時は、毅然と対応して、場合によっては損害賠償を求めることも可能になるのである。

何よりも、顧客に対するサービスマナー意識を持ち、利用者のの家族とは異なって、介護のプロとしての対応に終始することにより、自らの仕事に対する誇りを持つことができるのである。

それが定着率のアップにもつながり、なおかつ顧客から選ばれる事業にもつながることを理解してほしい。


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