先週1/25付で発出された、「介護保険最新情報Vol.1202 」は、令和6年2月からの介護職員処遇改善支援補助金の実施について(要綱)である。

ここにも書かれているがこの補助金を算定する事業者は、「令和6年6月以降においても、本事業により講じた賃金改善の水準を維持すること。」とされており、6月以降に新設される介護職員処遇改善加算を算定することが前提となる。

ところでこの補助金は、介護事業者の介護職員の月額給与を6000円アップすると言われているが、それはあくまで配置基準ぎりぎりの介護職員しか配置していない事業者において、介護職員のみに補助金を配分した場合にその額に近づくという意味にしか過ぎない。

しかし実施要綱には、「本事業による賃金改善の対象者は、本事業の対象となる介護サービス事業所等に勤務する介護職員とする。介護サービス事業所等において、介護職員以外の職員を改善の対象に加えることも可能とする。その際、本事業が介護職員の処遇改善を目的とするものであることを十分に踏まえた上で、賃金改善を実施するものとする。」と書かれており、本来は介護職員に補助支給するものであるが、事業者の裁量で他の職種にも配分して良いとされている。

これを受けて、公平性を鑑み全職員に補助金を配分する事業者も少なくないだろう。その場合、介護職員の給与改善額は、他職種に配分する分だけ少なくなる。そのため2千円/月にも満たない額になることも考えられる。

そうなった際に(※特定加算の支給の際にも見られた傾向だが)、一部の職員からは経営者や管理職が補助金を搾取しているのではないかと疑問の声が挙がることがある。

しかしこの補助金にしても、現行の処遇改善3加算にしても、算定額の全額を職員に配分していなければ返還指導を受ける種類のものであり、決して経営者等が搾取して自分の懐に入れることができるものではない。

そうした事実とルールを、事業者内で全職員に対して丁寧に説明する必要がある。それを怠ると経営陣に対する不信感が芽生え、職場環境の乱れにつながりかねないことを憂慮しておく必要がある。

この補助金は補助全額を賃上げに充てる必要があり(※今年2月分から賃上げを実施することが必要)、補助額の3分の2以上をベースアップ(※基本給、または毎月決まって支払う手当を指す)に充てなければならないが、就業規則などの改訂が間に合わない場合は、2月分を3月分にまとめて賃上げすることも可能であり、2月分と3月分の賃上げに限っては、一時金などによる賃上げでも差し支えないとしている。

また都道府県ごとであれば、同じ法人内の施設・事業所をまとめて申請でき、交付額については、同一の設置者・事業者が運営する他の事業所・施設(※介護職員処遇改善支援補助金の対象である事業所・施設に限る。)における賃金改善に充てることができる。

ところで来年度の介護報酬改定率プラス1.12%中には、処遇改善分として0.98%が含まれている。この数字は上記の介護職員処遇改善支援補助金がそのまま加算に振り替わる分も含んだ数字である。

また0.98%+というのは、現行支給されている介護給付費全体から見て、それに対して増加する割合であり、現行加算の支給額に対する割合ではない。

一方で6月に現行の処遇改善3加算が統合・一本化されて新設される介護職員等処遇改善加算については、2.5%プラスと資料に書かれているが、この割合は前年度の処遇改善分の支給額に対するプラス割合である。

両者の割合のベースが異なることを理解せねばならない。

ところで令和6年度介護報酬改定における改定事項についての資料を読むと、「介護現場で働く方々にとって、令和6年度に2.5%、令和7年度に2.0%のベースアップへと確実につながるよう加算率の引き上げを行う。」という文言があり、これについての質問を受けることがある。

このことについては、昨年12/20の鈴木俊一財務相と武見敬三厚生労働相が折衝で合意した「介護職員の賃上げは継続的に行う」という政府方針に基づいた内容である。

つまり介護職員等処遇改善加算は、2024年度だけ引き上げられるわけではなく、2026年度まで毎年引き上げる(※加算率が変更される)ことを意味している。

そのうち2024度は2023度より2.5%プラスし、2025年度はさらに2024年度より2.0%アップさせる分の財源は確保しているのだ。

2026年度からをどうするかは、賃上げの進捗や他産業の動向などを踏まえて直前の予算編成過程で判断するとしており、「2026年度の期中改定も視野に対応を検討することになる」と厚労省は見解を示している。

このように毎年引き上げられる介護職員等処遇改善加算は、毎年加算率が引き上げられると理解してほしい・・・そうであるがゆえに、何が何でも最上位加算の加算を算定するようにしないと、3年間で下位加算算定施設は上位加算算定施設との算定額に差がつけられるということになる。

そうなれば職員の給与レベルが、最上位加算算定施設とさらに広がることになり、人材は張り付かず、流出するばかりの状態に陥る。即ちそれは、介護事業経営を継続できない危機に直結するという問題となろう。

介護事業経営者は、この問題を決して軽視してはならないと思う。
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