今日午前中に行われた第239回社会保障審議会介護給付費分科会の議題は「令和6年度介護報酬改定に向けて(介護報酬改定案について)」であった。
今頃、公表された資料1の報酬改定の主な事項や諮問書の報酬単価を懸命に読み込んでいる人が多いことだろう。

午前中に終了したWeb会議では、案の定訪問介護の基本サービス費の引き下げについて、強い不満と説明を求める声が相次いだが、国は処遇改善を優先させてメリハリをつけッというだけで、基本サービス費の引き下げ理由は明確にしなかった。相も変らぬノラリクラリ答弁に終始する姿勢だけが目立った。
これらことについては、このブログでも追々考察することとして(※明日は訪問介護について書こう・・・。)
ところで介護事業者の皆さんには、前回(2021年度)の報酬改定・基準改正で設けられた経過措置が終了することに対応した運営ができているかを確認してほしい。
例えば義務化されたBCPの策定については、経過措置の終了にあわせて未実施減算が新設されることになるので、この確認を行っていないところはないだろう。
この際同時に、『2026年度末までの概ね3年間に限り、「感染症の予防・まん延防止の指針」と「非常災害対策計画」を整備していれば減算を免除する。』という経過措置が設けられたが、注意してほしいのは減免は免除されるが、運営指導では基準違反に問われるということだ・・・あくまで減算という罰則に該当しないだけで、適切な運営ではない状態には変わりがないのである。
また2021年度の改定で義務化した虐待防止措置(虐待の防止に向けた委員会の設置、指針の整備、研修の実施、担当者の選任など)を実施していない施設・事業所に対し、基本報酬の減算を新たに導入する(福祉用具貸与・販売は対象外)ということになっているので、こちらも確認・注意してほしい。
こちらも、訪問系サービスや居宅介護支援、福祉用具貸与などは、「感染症の予防・まん延防止の指針」の策定が義務化されて間もないこと、「非常災害対策計画」の整備が義務付けられていないことを考慮し、少なくとも2026年度末まで対象から外す。とされているが、この場合も減算はなくとも運営基準違反であるという理解を持ってほしい。
問題は減算規定が設けられないが、基準改正の経過措置が切れるため、その基準に合致させねばならないという規定である・・・これを見逃していないかの注意が必要だ。
施設系サービスについて、栄養マネジメント加算を廃止し、基本サービスとして、状態に応じた栄養管理の計画的な実施を求めるという3年間の経過措置が終了する。
そのため運営基準(省令)に規定された以下の基準を4月以降クリアしておかねばならない。
イ 入所者の栄養状態を施設入所時に把握し、医師、管理栄養士、歯科医師、看護師、介護支援専門員その他の職種の者が共同して、入所者ごとの摂食・嚥下機能及び食形態にも配慮した栄養ケア計画を作成すること。栄養ケア計画の作成に当たっては、施設サービス計画との整合性を図ること。なお、栄養ケア計画に相当する内容を施設サービス計画の中に記載する場合は、その記載をもって栄養ケア計画の作成に代えることができるものとすること。
ロ 入所者ごとの栄養ケア計画に従い、管理栄養士が栄養管理を行うとともに、入所者の栄養状態を定期的に記録すること。
ハ 入所者ごとの栄養ケア計画の進捗状況を定期的に評価し、必要に応じて当該計画を見直すこと。
↑これらについては(管理)栄養士が把握している問題なので、クリアできている施設がほとんどで、さほどの心配はいらないかもしれない。
問題は施設系サービスについて、基本サービスとして、口腔衛生の管理体制を整備し、状態に応じた口腔衛生の管理の実施を求めることの3年間の経過措置終了についてである。
運営基準(省令)に規定された以下の基準を4月以降クリアしておかねばならない。
(1)当該施設において、歯科医師又は歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が、当該施設の介護職員に対する口腔衛生の管理に係る技術的助言及び指導を年2回以上行うこと
(2) (1)の技術的助言及び指導に基づき、以下の事項を記載した、入所者の口腔衛生の管理体制に係る計画を作成するとともに、必要に応じて、定期的に当該計画を見直すこと。なお、口腔衛生の管理体制に係る計画に相当する内容を施設サービス計画の中に記載する場合はその記載をもって口腔衛生の管理体制に係る計画の作成に代えることができるものとすること。
イ 助言を行った歯科医師
ロ 歯科医師からの助言の要点
ハ 具体的方策
ニ 当該施設における実施目標
ホ 留意事項・特記事項
(3)医療保険において歯科訪問診療料が算定された日に、介護職員に対する口腔清掃等に係る技術的助言及び指導又は⑵の計画に関する技術的助言及び指導を行うにあたっては、歯科訪問診療又は訪問歯科衛生指導の実施時間以外の時間帯に行うこと。
↑このように歯科衛生士の介入が基本サービスとして必要となる。
介護保険施設に配置のない職種が年2回以上定期介入する方法について、外部委託するなどの方策をとらねばならない。
例えば特養なら協力歯科医療機関を定めて、そこに利用者の歯科診療を優先的に委ねる見返りに、歯科衛生士を無償で定期派遣してもらうなどのバーター契約も考えられると思う。
そうしたことができない場合は、外部委託費がかかることになるが、この部分に対する報酬対価がない状態で、そのような費用負担が生ずることは非常に痛いし、納得できない部分でもある。




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稼働率によって処遇加算も月々ばらつく手当を支給することになるも視野に入れなければならない状況です。
生き残りをかけた、正念場のような気がします。。
masa
が
しました