多死社会に突入している我が国では、死に場所が定まらない看取り難民を生み出さないことが大きなテーマの一つになっている。
そのため2024年度の報酬改定でも、「看取りへの対応強化」が大きなテーマとして掲げられており、下記画像のとおり、各サービスごとに新たな対応策が掲げられている。
その主たる内容を見ると、訪問介護では特定事業所加算の重度者対応要件として、「看取り期にある者」に関する要件を新たに追加することや、訪問看護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、看護小規模多機能型居宅介護のターミナルケア加算については、診療報酬における評価を踏まえ単位数を見直すとしている。
さらに訪問看護と看護小規模多機能型居宅介護では、ターミナルケア加算を算定し、看護師が情報通信機器を用いて医師の死亡診断の補助を行った場合の評価を新たに設けるとしている。
訪問入浴介護と短期入所生活介護では、看取り介護を実施する体制に対する新加算を創設するとしている。
老健のターミナルケア加算は、死亡日や死亡日に近い日の算定単位を従前より高く設定しなおすことが示されている。
しかしここで一番僕が注目しているのは、居宅介護支援のターミナルケアマネジメント加算の見直しである。
今回の改定で、末期がんの利用者のみが対象となっていたターミナルケアマネジメント加算は、対象疾患を限定しないように変更された。
これはまさに僕が望んでいたことだ。実はこのブログでも今から5年以上前の2018年6月に、「診療報酬と介護報酬のすり合わせは不十分ではないか?」という記事を書いて、この加算が末期がんの方のターミナルケアのみを算定対象としていることに疑問を呈していた。
同じ疑問は厚労省の関係者の方とお会いする度に投げかけてきた。しかし5年前に「高齢社会が進行して老衰死が増えている中で、ターミナルケアマネジメント加算の対象が末期がんの人だけを対象としているのはおかしい」という僕の意見に耳を貸す人は少なく、「そんなことを言っているのは菊地さんだけですよ」・「そんな疑問を口にする人は他いにませんよ」といわれたものだ。
しかしそれから5年経って、この加算が対象疾患を末期がんに限定しなくなったことで、在宅で老衰死する人の支援においても加算できるようになった。
誰もそのことが必要だと言っていなかったのだから。それが変わったというのは僕の手柄といっても良いのではないのかと秘かに考えている・・・勿論、実際にはそんなことはないことは分かったうえでのことである。
どちらにしてもこのことは求められる方向への改正である。
在宅で老衰死する人に、居宅ケアマネが関わることは非常に重要なのである。なぜなら老衰死とは自然死であるからだ。
その自然死を最も安楽な状態で、安心しながら迎えることができるための支援、その際に必要な代弁、そこでしかできない最期のエピソードづくり・・・どれもソーシャルワーカーとしてのケアマネジャーの援助知識と援助技術を酷使して行う、ケアマネジメントの醍醐味ともいえるのである。
それは死の支援ではなく、人生の最終ステージを生きる人が、最期まで人としての尊厳をもって生き続けるための支援である。
居宅ケアマネの方々は、是非その意味を理解して、旅立つ人の傍らに寄り添い、尊厳ある存在として生きるを支えるターミナルケアマネジメントに努めてほしい。
そこで必要となる方法論は、僕の看取り介護講演などでも伝えているので、是非その内容などを参考にしてほしい。
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