2021年の基準改正で介護事業者に義務付けられたBCPの策定については、3年間の経過措置が設けられている。
その期限が2024年3月末に迫っているため、未だにBCPを未策定の事業者は、今、その完成に懸命に取り組んでいることと思える。
今後新しいパンデミックも懸念される社会であることを鑑み、さらに毎年のように大きな自然災害がおき我が国では、BCPは事業継続の生命線になり得るものだから、経過措置の有無にかかわらず、できるだけ早く策定を終えてほしい。
さらにBCPは、策定後の訓練(シミュレーション)を重ねて、微調整をしていくことで初めて実効性のあるものになるものなので、そういう意味でも策定を急ぐことが大事だ。(参照:BCP策定は、焦らず事業者全体で協力してが正解)
とはいっても初めてこの策定に関わる小規模事業者では、その知識が全くない職員しかいないということで、なかなか策定作業が進まず、来年3月までに策定の目途が立っていないというところがあるかもしれない。
そんな事業者にとっての朗報が入っている。

11/27の介護給付費分科会の資料3は、「業務継続に向けた取組の強化等(改定の方向性)」とされているが、その中でBCPの未策定減算の適用ルール(案)が示されている。
それによると、「感染症若しくは自然災害のいずれか又は両方の業務継続計画が未策定の場合、基本報酬を減算する」とされているが、同時に「その際、一定の経過措置を設ける観点から、令和8年度末までの間に限り、感染症の予防及びまん延防止のための指針の整備及び非常災害に関する具体的計画の策定を行っている場合には減算を適用しないこととしてはどうか」とされている。
さらに、「訪問系サービス及び居宅介護支援事業所については、令和3年度報酬改定において感染症の予防及びまん延防止のための指針の整備が義務付けられて間もないこと及び非常災害対策計画の策定が求められていないことを踏まえ、令和8年度末までの期間については、減算の対象としないこととしてはどうか。」ともされている。
この案はそのまま適用されるだろう。すると感染症対策としての指針整備と具体的計画については、ほとんどの事業者がコロナ対策として既に整備していると思えるため、BCP策定が遅れても、2024年度以降の3年間は運営指導で文書指導はされたとしても、報酬減算はないということだ。
またBCP策定ができておらず、なおかつ感染症対策としての指針整備と具体的計画も未作成という事業者であっても、とりあえず感染症対策としての指針整備と具体的計画だけさくせいできれば、BCP未策定減算は免れることができる。
訪問系サービス及び居宅介護支援事業所については、それさえしなくてよく、減算適用は令和8年度末まで引き延ばされる。
そう考えるとBCP策定については、実質的に経過措置期間がさらに3年延長されたようなものだといえよう。
この減算特例に胡坐をかいて、BCPの策定業務を止めるようなことがあってはならないが、何らかの事情で年度内に策定ができない介護事業者も、そのことが経営上影響するようなことに繋がらないということにはホッとしていることだろう。
2月から支給される補正予算による介護職員らのベースアップ支援加算の上乗せに対する事務処理などで、何かと忙しい介護事業者で、BCP未策定の事業者にとってはそれは朗報といえるのではないだろうか。




北海道介護福祉道場あかい花から介護・福祉情報掲示板(表板)に入ってください。
・「介護の誇り」は、こちらから送料無料で購入できます。
・masaの看取り介護指南本「看取りを支える介護実践〜命と向き合う現場から」(2019年1/20刊行)はこちらから送料無料で購入できます。

新刊「きみの介護に根拠はあるか〜本物の科学的介護とは」(2021年10月10日発売)をAmazonから取り寄せる方は、こちらをクリックしてください。