昨日午後に配信したオンライン講演「介護報酬改定を踏まえた介護事業経営の戦略」には、450人を超える多数の方がつないでくれて、90分の講演を受講して下さった。この場を借りてお礼を申し上げたい。
今後も様々なテーマで無料オンライン講演を配信する機会があると思うので、よろしくお願いします。
さて今日は、ICTを利用した業務改善・・・いわゆる介護DXにつながる問題を考えてみたい。
組織内での「報連相」は、他職種・他者の思いを汲み取るためにもおざなりにできない重要なものである。
報連相ができていないことから生じたリスクにより、組織・チーム内で重たい雰囲気が生じ、それがより一層報連相がしにくい空気を作り、どんどんパフォーマンスを低下させていく。
そうならないように管理職は、常に報連相が機能しているかを確認しておく必要がある。
このうち連絡については、なかなかうまく伝わらないと悩む声を数多く聞く。
連絡していないと認識にズレが生じ、例えば利用者ケアに関する連絡がうまくいっていないと、ケアサービスそのものに齟齬を生じる。それほど重要な連絡であることは理解しているが、人によって連絡内容が伝わっておらず、ケアの統一が図れないなどの悩みを抱える現場リーダーは少なくない。
連絡は口頭で行ってよいものもあるが、それでは不十分となるものもある。
例えば数字を伴うもの、方針に関するもの、重要なもの、伝言だけでは間違いが起こる恐れがあるもの、グラフや図表等を示す必要がある場合などは文書で連絡しなければならない。
利用者ケアの統一を目指した連絡は、「方針に関するもの・重要なもの」の当たるため、必ず文書連絡することが基本だ。
しかし文書といっても、これは何も紙ベースだけで考える必要はない。利用者ケアの方法を変更する必要がある場合は、重要でかつスピード感をもって対応しなければならないため、紙ベースの連絡では間に合わないことが多い。
そもそも紙の文書連絡は、その紙がある場所まで読みに行く必要がある。休日などで勤務していない人にはリアルタイムで伝わらないのである。そうなるとタイムラグの間に、伝えるべき紙ベースの文書そのものが、どこにあるか不明となったりする。
また連絡分を読むのが苦手な人も多く、斜め読みして内容を十分把握できないということも起こりやすいのが紙ベースの連絡方法である・・・それはヒューマンエラーが起こりやすい連絡方法とも言える。
そうした問題を防ぐためにこそICTを活用すべきだ。
スマホやタブレットは、もはや最も身近にある使っている機器である。そこに繋ぐ連絡方法は既に業務連絡の主役と考えるべきではないか。
グループを形成して、そのグループ内に一斉送信して連絡するにしても、誰か個人のみに連絡するにしても、ICTは確実にタイムラグなく連絡したい事柄を伝えられるツールでなのだから、これを使いこなすことにより連絡ミスを最小化できるし、業務負担の軽減にもつながる。
6月に新設される介護職員等処遇改善加算では、全区分に新しい職場環境等要件が求められるが、その中には「業務手順書の作成や、記録・報告様式の工夫等による情報共有や作業負担の軽減を行っている」という項目があり、上記のような方法によってこの要件をクリアできることにもつながる。
介護事業者の中には、「従業員の中にはICTの苦手な人も居る」ことを理由にしてICT活用が進んでいないところも少なくないが、生産年齢人口が減少し続ける中で、要介護者が増える社会では、そのような悠長なことは言っていられないのである。
機械が人に替わることができない部分が多々ある介護事業であるからこそ、テクノロジーによって業務削減につながる部分には積極的にそれを導入していかねばならないのである。
それをしない限り、若者は張り付かず、業務は回らず、廃業に向かってまっしぐらである。
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