厚労省の方と話をする際、老健に話題が及ぶときに、「特養化」という言葉がよく出てくる。

勿論それは悪い意味であり、在宅復帰機能を放棄したかのような長期滞在施設になってしまっている老健は、存在意義が薄いという意味で使われている言葉だ。

ご存じのように老健の報酬単価は、特養の単価より高額に設定されている。

それは老健の介護報酬には、入所者の処方薬代金も含まれた包括報酬=いわゆるマルメ報酬であることとに加え、医師や看護職員・リハ専門職などの有資格者を、特養より数多く配置しなければならないことによる差である。

しかしその根本は、老健は医療機関入院と在宅生活の中間に位置づけられる施設であり、急性期治療を終えた方が、在宅生活ができるように回復期リハビリテーションの中核機能を担って、できるだけ速やかに要介護者を在宅復帰させるための専門職配置であり、そのための報酬単価であることを忘れてはならない。

その為、厚労省の官僚の中には、「特養化した老健は、特養と同等の報酬単価でよい」と考える人も多いし、さらには「そうした老健は倒産・廃業したって良い」と考えている人も居る。

現在5区分(超強化型・在宅強化型・加算型・基本型・その他)に分かれている老健のうち、「その他老健」が経営困難なほどの報酬単価になっている意味は、「そんな老健はいらない」というメッセージなのである。

そして国は介護報酬改定の度に、在宅復帰・在宅療養支援機能を強化する仕組みを少しずつバージョンアップさせている。

その為、来年度の報酬改定では「基本型」についてもかなり厳しい改定となることは、「基本型老健にさらなる逆風」で解説したとおりである。

その具体的内容が11/16の介護給付費分科会で示されたので整理してみよう。
前途多難な船出
在宅復帰・在宅療養支援等指標については次の2点の評価を加える。
入所前後訪問指導割合及び退所前後訪問指導割合に係る指標の取得状況を踏まえ、基準を引き上げる
・支援相談員の配置割合に係る指標において、社会福祉士の配置を評価する。

そのうえで各類型間における基本報酬において更に評価の差をつける・・・つまり傾斜配分を今以上に強化し、基本型以下の老健の基本サービス費は下げて、加算型以上の老健の基本サービス費を引き上げる財源に回すことになる。

老健の中核加算ともいえる短期集中リハビリテーション実施加算については、原則として入所時及び月1回以上ADL等の評価を行った上で、必要に応じてリハビリテーション計画を見直すとともに、評価結果をLIFEに提出した場合の加算区分を新設する。

認知症リハビリについては、学習療法や記憶訓練等に比重が偏っており、廃用予防や活動・参加につながる訓練をすべきであるとの指摘がされていたことを踏まえ、認知症短期集中リハビリテーション実施加算について、利用者の居宅を訪問し生活環境を把握することを要件とし、居宅を訪問しない場合と区分して算定できるようにする。

認知症リハビリにも、もきちんと身体機能を改善できる方法を取り入れて、自宅復帰ができることを意識させる改定内容となっている。

また今回の報酬改定では、居宅サービス・施設サービス横断的に、リハ・口腔・栄養を一体的に推進するとしているため、リハビリテーションマネジメント計画書情報加算について、リハビリテーション・口腔・栄養を一体的に推進する観点から、下記の要件を満たす場合について評価する加算区分を新設し、要件を以下の通りとする。
・口腔衛生管理加算(供傍擇啀浜椒泪優献瓮鵐閥化加算を算定していること。
・実施計画等の内容について、リハ・口腔・栄養の情報を関係職種間で一体的に共有すること。その際、必要に応じてLIFE提出情報を活用すること。
・共有した情報を踏まえ、リハビリテーション計画について必要な見直しを行った上で、見直しの内容について関係職種に対しフィードバックを行うこと。
(※介護医療院の理学療法等(特別診療費)特養の個別機能訓練加算(供についても同様の見直しを行う)

また慢性心不全が増悪した場合について所定疾患施設療養費の対象として追加している。

ターミナルケア加算については、死亡日から期間が離れた区分における評価を引き下げ、死亡直前における評価をより一層行うよう重点化を図るとされた。

かかりつけ医連携薬剤調整加算(機の下位区分に、施設において薬剤を評価・調整した場合を追加し、下記の3要件を追加することとした。
・ 処方を変更する際の留意事項を医師、薬剤師及び看護師等の多職種で共有し、処方変更に伴う病状の悪化や新たな副作用の有無について、多職種で確認し、必要に応じて総合的に評価を行うこと
・ 入所前に6種類以上の内服薬が処方されている方を対象とすること
・ 入所者や家族に対して、処方変更に伴う注意事項の説明やポファーマシーに関する一般的な注意の啓発を行うこと。

このように減薬の取り組みも一層推進する方向が示されている。

なお地域連携診療計画情報提供加算及び認知症情報提供加算は算定率が低いため廃止とするとされた。

このように老健の主たる改定事項は、在宅復帰施設としての機能を強化する方向にシフトしていることが明らかである。

その為、現在基本型の報酬しか算定できていない老健は、一日も早く加算型に移行する手立てをとらないと、ごく近い将来、経営破綻に追い込まれることを覚悟しておかねばならない。






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