我が国には、「2030年問題」という厄介な問題が存在する。

2030年を迎えた我が国は、超高齢化社会が現在よりも進行し、3人に1人が65歳以上になると予想されており、そのことで引き起こされる各種問題の総称が、「2030年問題」といわれているわけである。

日本国内の人口の約3割が高齢者となり、その人たちを現役世代の就業者が支えなければならない社会が、あとわずか6年後に到来するのである。

そうなると生産年齢人口も減少することから、様々な業界が労働力不足に陥る状況が想定され、社会全体に大きな影響を及ぼす。今でさえ労働力不足は深刻なのに、それ以上に深刻な働き手のいない時代を迎えなければならないのだ。

当然のことながら社会全体の活力は低下せざるを得ない。

この問題に関して、元経済財政政策担当大臣などを務めた竹中平蔵氏は2030年からの10年を、「ショック療法10年」になると予測し、「一番最初に出てくる問題は介護難民」と述べている。

必要な介護を受けられない人が大量発生するという大きなショックに見舞われて、そこで政策などの大転換が図られ、その状態に対応した社会に変換していくという意味である。

竹中氏は、日本人は大きな危機に直面した際には、強い適応力を発揮するという考えを示してると同時に、大きな危機に直面しない限り現状をなかなか変えようとしないという特徴を持っていることを嘆いてもいて、2030年は、介護難民の大量発生という形で日本がかつてない危機に直面することになるため、否応なしに社会構造の変革が進むとしているのである。
介護難民
しかしその際に大量発生する介護難民が、その変革によって救われることはなく、変革の肥やしとなって野垂れ死にならざるを得ない。

そうした屍(しかばね)を乗り越えた先に新しい日本が生まれると言われて、それでよいと思えるだろうか。

少なくとも介護関係者は、それをよしとしてはならず、そうしないための方策をとっていく必要がある。

昨年までの出生率を見てもわかる通り、生産年齢人口が2030年までに増加することは不可能であり、移民政策に大きく舵をとらない限り、外国人労働者も劇的に増えることはないのだから、今より少ない人数で介護サービスを提供できるようにする工夫は不可欠だ。

しかしそれは人に代わって介護をできる機器があるという幻想を抱いて、機器導入して配置人員を削るという意味ではない・・・そんな方法は、介護難民を密室の中でなかったことにするだけの愚策であり、「介護事業所内介護難民」を大量発生させる誤魔化しでしかない。

労働力不足であっても、基本的な介護がきちんとできるようにするためには、サービス提供主体の規模を小さくしたユニットケアを推奨するのではなく、経営は大規模化してスケールメリットが生まれる経営を奨励し、その中で人材を育成・定着させて、適材適所に効率よく人材を配置することである。

法人内の兼務は、事業を効率的に回す手段として制限をできる限り排除して認めるべきである。

なにより人材育成と定着のシステムを構築しなおさねばならない。

介護の生産性の低さが問題になっているが、人材教育の生産性の低さは目を覆うばかりである。介護実務を教えようとしても、その方法が教えられていないから、各自ばらばらの勘に頼って教育に当たるから、方法も不統一で根拠もない指導に終わる・・・そのため介護技術が身に就かず、不安のために短期間で辞めていく職員が増えるばかりである。

こうなると介護実務教育の生産性はないに等しくなり、仕事を教えた時間はすべて無駄な時間と化し、介護業務自体の生産性も低下する。

そうならないように介護実務に従事する前に、しっかり基礎研修を行ってOJTに結びつける必要がある。さらにOJTツール(介護マニュアル等)を使える内容に差し替えて、誰しもが差がなく実務指導ができるようにしなければならない。

こうした形の本物のOJTを行わねば人材は育成・定着できないのである。

この部分は、僕の講演を受講して改革に努めている法人も少なくないはずである。

どういう内容と方法で基礎座学を行い、OJTツールをどう改善して、実務指導に結びつけるかについては、「人材マネジメント」をテーマにした僕の講演で具体策を伝えているので、是非一度拝聴してほしいものである。

勿論、講演依頼も随時受け付けているので、あかい花の公式サイトにメールアドレスを記載しているので。そちらまで気軽に問い合わせいただきたい。






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