昨日11/6に開催された社会保障審議会・介護給付費分科会では、処遇改善加算の新体系について国から新たな提案があった。

その提案とは、現行の「介護職員処遇改善加算」・「介護職員等特定処遇改善加算」・「介護職員等ベースアップ等支援加算」の3種類を一本化する際に、算定できる区分にも段階を設けるというものだ。
新処遇改善加算のイメージ図
※介護給付費分科会資料で示されたイメージ図
このように基本的な待遇改善やベースアップを土台にして、キャリアパスや職場環境要件・経験や技能のある介護職員の配置などの状況に応じて上位の加算を算定できる仕組みとしている。

この新加算は一本化による事務負担の軽減が期待されるほか、現行の3加算以上の金額の積み上げも期待されている。その為この案自体は介護事業関係者も歓迎できる内容ではないかと考える。

さらに現行の3つの処遇改善加算それぞれで異なっている職種間賃金配分ルールについては、「介護職員への配分を基本とし、特に経験・技能のある職員に重点的に配分することとするが、事業所内で柔軟な配分を認める」と提案しており、事業者裁量で配分職種や金額を決定するすることが認められることから、職種間の不公平を理由に算定を躊躇う事業者も減少することが期待できる。

しかし問題は、その配分について対象を拡大する方針が盛り込まれなかった点である。

つまり現行の3加算の算定ができない事業については、新加算も算定不可となるということだ。その中には居宅介護支援事業所も含まれており、期待された居宅ケアマネの待遇改善は、処遇改善加算という形では実現しない可能性が高まったのである。

この点については、僕が管理する表の掲示板スレッドでも話題になっており、「居宅を退職して、施設ケアマネか介護職に戻ります。」という意見も書き込まれている。

それももっともだと思ってしまう。

居宅介護支援事業所の介護支援専門員の成り手が少なくなり、現業者の高齢化も進んでいる昨今、人材が居ないことで居宅介護支援事業所の経営が成り立たないリスクが増している。にもかかわらず居宅ケアマネの待遇改善がないまま、介護職員等の待遇だけが改善されている。

しかも経済対策として来年2月から実施される介護職員等の月6.000円の給与改善の対象からも、介護支援専門員は除外されている。

そうなると介護職員は、報酬改定(おそらく施行は2024年6月)より4カ月先駆けて、まずは6.000円の給与改善の後、一本化される処遇改善加算に更なる金額の上積みを図って、6月以降は実質賃金が1万円以上のアップを勝ち取ることも可能性としては有りだ。

ところがそのような給与改善の蚊帳の外に居宅ケアマネは置かれることになり、居宅ケアマネの給与レベルは介護関係者の最下層となる可能性も否定できないのである。

そのような職種の成り手が増えるわけがない。国は居宅ケアマネが、「そして誰もいなくなった」状態になっても良いというのだろうか・・・。

いやそうではなく同日の介護給付費分科会では、居宅介護支援事業所の介護支援専門員の給与改善策は、別案として示されていると指摘する人がいるだろう。

しかしその案とは、居宅ケアマネの尻を叩いて、馬車馬のように働かせて、過労死させるような案でしかないと思うが、そのことについては今日の記事が長くなったので明日解説したい。

明日昼頃に、「居宅介護支援の逓減制の再緩和という鞭」という記事をアップする予定なので、ぜひ参照してほしい。






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