11/6に行われた介護給付費分科会では、新しい処遇改善加算の考え方が示されたが、そこでは算定対象事業の拡大方針は示されなかったため、相も変わらず居宅ケアマネは処遇改善の蚊帳の外に置かれることになる。
※ただし今後この方針が変更される可能性はゼロではない

そのため昨日は、「新処遇改善加算で笑う人・泣く人」という記事を更新アップし、経済対策として月6千円の給与改善対象にも含まれていない居宅介護支援事業所の介護支援専門員は、給与レベルでは介護事業における最下層になってしまうのではないかと論評した。

そしてそれによって居宅ケアマネの成り手がいなくなることも懸念している。

ただし同日の介護給付費分科会では、居宅介護支援費の資料の中で、「ケアマネジャーの人材不足が非常に厳しい状況にある。ケアマネジャーが魅力ある職種であり続けるとともに、今後の居宅介護支援事業を継続するためにも、全国的にケアマネジャーの育成確保、処遇改善、経営の安定の両立を図らなければならない」という考えも明記されている。

その実現のためにどんな提案があるのかと資料を読みこんだところ、どうやらそれは逓減性の更なる緩和しか該当しないように思える。

基本サービス費が上がるかどうかは、今後の介護経営実態調査における居宅介護支援事業所の昨年度の収支率が問題になるのだろうが、それとは別個に居宅ケアマネの待遇に直接影響する収益増の方法が、基本報酬の逓減制の更なる緩和であろう。

しかしこの提案は、居宅ケアマネにとって喜ばしいものだと言えるだろうか・・・僕はそうは思わない。

居宅介護支援の逓減制は、ケアマネジャー1人あたりの担当件数が一定数を超えると基本報酬を引き下げる仕組みで、2021年度の介護報酬改定では、逓減される件数が40件目からとしていた従前の適用ルールを45件目からに緩和している。その際にICTの活用や事務職員の配置などを要件として定めた経緯がある。

つまりより多く(5名)の利用者を担当するという前提で、その分収益アップを図れるのだから、それをケアマネの給与に反映させようという考え方だ。しかし業務を増やして給与が上がるのは当たり前であり、それをコストパフォーマンスという面で考察したときに、必ずしもそれは待遇改善とは言えないのではないのか?

今回国が提案しているのは、これをさらに緩和して、国のケアプランデータ連携システムの活用などを新たに要件として加えたうえで、逓減適用を50件目からとするというものだ。

この方法で収益を挙げるためには、居宅ケアマネは今よりさらに5件の担当ケースを増やす必要があり、2021年度以前と比較すると10ケースの増加ということになる。
疲弊する居宅ケアマネ
それはまるでケアマネの尻を叩いて、休む間もなく働かせて自分の給与アップ分を稼ぎ出せと言っているようなものでしかない。

他の介護職などが従前の業務と変わらぬ働き方の中で待遇が改善されているのに、居宅ケアマネはそれとは異なり、業務負担が大幅に増加する中でしか待遇が改善されないことになる。これでは居宅ケアマネ業務のコスパは低下の一途を辿ると言っても過言ではない。

そもそも前回の報酬改定で逓減性緩和が行われたにもかかわらず、昨年9月のサービス提供分で逓減制の緩和を「届け出済み」の事業所は16.3%でしかない。

その最大の理由は、「ICTを活用できる体制が整っていない(38.3%)」とされているが、これは回答の選択肢がそうした表現になっているだけで、本当はICT(スマホやタブレット)を活用しても、大した業務軽減に結びつかないという意味だ。

さらに、「ケアマネジメントの質の維持のために難しい」という理由が2番目に挙げられており、今後もこうした理由で担当件数を増やすことができない居宅ケアマネが多数に上ることが予測される。

つまり逓減性の再緩和による居宅ケアマネの待遇改善は、ほとんど効果が見込めないと言えるのである。

にもかかわらず6日の介護給付費分科会では、日本介護支援専門員協会の霤掴詑副会長は逓減制の更なる緩和について、「事業所によっては介護支援専門員の賃上げ、職場環境の改善などに活かせると期待できる。入退職時の一時的な担当件数の増加などにも一定対応できるようになる」と前向きに評価している。

まったくこの団体は、介護支援専門員実務者の意向を反映しない団体であるとしか言えない。こんな団体に会費を払ってる介護支援専門員が可愛そうである。

しかも逓減性の再緩和を利用して収益を上げようとしても、サ高住の同一建物減算新設などで、収益が現在より下がる居宅介護支援事業所もあり、ケアマネの待遇改善に結びつく収益増は簡単ではない。

その為、居宅ケアマネの成り手を確保するためには、処遇改善加算の配分事業所を拡大する方針に転換するか、居宅介護支援費の基本サービス費の大幅な引き上げが是非とも求められるところである。

ところで今回の提言性の再緩和は、ケアプランデータ連携システムの活用を要件としているが、その理由を国は、「請求業務やサービス事業者との情報連携などの大幅な効率化が期待できるため」と説明している。

しかし無料で使えるGoogleワークス等を使えば同じ効果は見込めるわけで、あえて有料のケアプランデータ連携システムなんて使う必要はないわけだ。

そんなシステムの使用を要件としている逓減性の再緩和とは、なかなか普及・浸透しないケアプランデータ連携システムの普及を図り、厚労省の懐がその使用料で潤うための新ルールでしかないように思う。

つまりこの再緩和は、国の手前勝手な都合が前面に出された改定案でしかないと言ってよいだろう。






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