介護施設における不適切な対応という残念なニュースが、また飛び込んできた・・・。

愛知県豊橋市が運営する特別養護老人ホーム「つつじ荘」が、エアコンの故障を理由に3人の入所者を3〜4週間にわたり廊下で生活させていた問題で、市は2日、間仕切りを置かずにおむつ交換をする介護が常態化していたと認めたというニュースがそれである。

廊下生活はACの修理が終わるまで3週間続いていたそうであるが、それ以前にも今回の3人を含む男女6人を廊下で4週間生活させていた経緯があるそうである。

つまりそのような対応が、ごく当たり前に行われ、その不適切さを指摘する人間がそこに誰もいなかったということか・・・トップである所長の人権意識の欠如が、施設全体の人権意識の欠如に繋がっていたのではないかと疑われる。
震える老人を廊下に裸で放置
この施設は市の運営ということだから、いわゆる公立施設であり、所長も市の一部署にしか過ぎず、定期的に市の職員が移動して務めているのかもしれない。しかしそんなことは人権侵害の言い訳にはならないだろう。

その職務に応じた見識や知識を身に着けられないのならば、降格したり退職するしかないと思う。

そもそもこの事実が発覚するまでの経緯をみると、事実を隠ぺいしようとする意図が働いていたように思われる。

なぜなら職員の聞き取り調査によって、廊下で間仕切りを置かずにおむつ交換をする介護が常態化していた事実が発覚した昨日以前、大井英昭所長は「パーティションを配置していた」と説明していたからだ。

そのことについて取材記者から問われた所長は、「現場責任者からパーティションを配置していたと聞いていた」と述べている・・・現場責任者が虚偽報告していたのか、はたまた所長自身が虚偽のコメントを出しているのかは今のところわからない。

それは今後明らかにすべきであるが、それにしてもこの所長は責任感がなさすぎる。実際におむつ交換場面を見ていなくとも、プライバシーに配慮したケアがされているかどうかは察することができるからだ。

一時的であっても、利用者を居室ではなく廊下で寝起きさせるということは重大事態だ。所長に報告が挙がらないはずはない。そうであれば報告が挙がった時点で、所長自らがその状態を確認して、プライバシーに配慮されるように、仕切り等が設置されているのか、設置される準備ができているのかなどを確認すべきであるからだ。

僕ならば、そのような事態が生じたなら必ずその場に出向き、利用者一人一人に声を掛け、お詫びをしたうえで、要望等がないかを確認したことだろう。仮に利用者が意思疎通ができない場合、家族に連絡を取って同じ対応をするだろう。・・・こうした対応は、施設トップ自らが行うべき管理責任なのだ。

しかるにこの施設は、家族へ連絡もしていない。取材に対しては廊下で対応していた事実を少しでも覆い隠そうとするためか、ロビー対応と答えている。事実をありのままに明らかにして、謝罪する姿勢が全くないと批判されても仕方のない対応だ。

社会全体が護るべき基準(ルール)にのっとり、行使できる権利が「人権」である。対人援助とは、この「人権」を護ることを何よりも重要であると考えるべき場である。

言い換えれば、人権が「日常」や「あたりまえ」をつくっていると言っても良い。

その人権が守られないところからは、あらゆる「日常」や「あたりまえ」が消えてゆく。そして感覚麻痺から虐待へと不適切行為がエスカレートしていく。

廊下で利用者を寝起きさせ、性器を露出するおむつ交換という行為を、仕切りのない状態で行っていたこの特養の行為は、性的羞恥心を与えるもので性的虐待とされても仕方がない行為だ。

このような人権侵害を行う先には、自分自身の人権がないがしろにされても何も言えなくなることに繋がる。

そうならないように人権を護るということに、何よりも配慮すべき職業が介護事業であり、そうした配慮ができない人間は、この職業に携わるべきではないのである。

そういう意味で、この施設のトップである所長の管理責任は重たいものであり、相応の処分を受けなければならないものと思われる。






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