一昨日(9/27)茨城県日立市の介護施設で、入所中の85歳の女性の頭を殴り、全治1週間ほどの怪我をさせたとして、青木宥磨(あおき ゆうま)容疑者(25)が逮捕された。
事件は9/26に別の職員から「介護職員が入所者を虐待している」と110番通報があり発覚している。(※介護施設の種別は報道されていない。)
取り調べに対し、青木容疑者は容疑を認めているということで、警察が詳しい動機などを調べているそうである。・・・がどうせ介護のストレスとか、かっとなってつい手を出したとか、おざなりの動機が語られて終わりなのだろう。
しかし介護事業者における職員の暴力行為は、そのような単純なものではない。
そもそも採用時に、対人援助に適したスキルや考え方を持っているのかという評価ができていないまま採用し、やりたい放題やらせている事業者も多い。利用者を護るための職業という本質を理解しないまま、自分の機嫌や感情の赴くままに、我がままに仕事をこなしている結果が、ちょっとした行為に腹を立てて手を出すという馬鹿な行為に繋がっていくことが多いのである。
この事件の容疑者も、そんな環境に甘えた人物でなかったのかどうかをまず検証すべきだ。(※FBでこの容疑者ではないかと思われる石岡市在住の人物を発見したが、容姿で判断してはならないけれど、とても真面目そうな人物には見えない。)
同時に容疑者のパーソナリティが対人援助に向いているか・向いていないかという以前に、介護という職業を通じて生活の糧を得る、対人援助のプロとしての適正評価も教育もしていない中で、サービスマナー意識を植え付けることなく、数合わせで人を採用して、ろくな教育もせずに介護の場に放り出して、先輩職員のやり方を見て仕事を覚えさせるような職場では何でもありだ。
利用者に暴力をふるうことをなんとも思わない人間が混じって当然である。
こうした事件が起きないようにするために、採用時の人物チェック〜採用後の適正確認とふるい落とし〜OJTに入る前の基礎教育としての座学の徹底〜計画的で統一した方法で行うOJT〜入職1年間程度の地租期と技術取得のフォローアップという実効性のあるシステムを創り上げておかねばならない。
プロの対人援助者を育てるための、実効性のあるシステムのないところは、それ自体が経営リスクであることを理解すべきである。
本件だけではなく、今週は介護事業者の不適切対応が、続々と報道されている。
同じく9/27に和歌山市の認知症対応型共同生活介護での某両事件に対する処分が明らかになっている。
和歌山市は、同市内の認知症対応型共同生活介護施設「グループホームすずらん内原」を運営する、和歌山市内原の有限会社ライフパートナーに対し監査を行い、6ヵ月間の新規受け入れ停止と介護報酬の請求上限を7割とする処分を行ったと公表した。
その理由は、GHにおいて女性管理者(56)が、今年6月頃、70歳代の利用者の頬を手で叩く暴行を加えたほか、今年7月頃には男性職員(62)が別の利用者の額を手で叩く暴力を加え、身体的虐待を行ったことによるものだ。同グループホームは9月末で廃止になるという。
そもそも人を殴る、人の顔をはたくという行為を、いとも簡単に行う人は、いったいどういう思考回路なんだろう。果たして自分が働く職場の顧客に手を挙げることに、ためらいとか、後悔とかはないのだろうか・・・。
顧客である利用者に手を挙げるような管理者がいては、そこの従業員の人権意識なんて無きに等しくなるのは当然だ。こんなGHが廃止になるのは当然だが、加害者である管理者と従業員も、当然逮捕してしかるべき処分を受けるべきだと思う。逃げ得を許してはならない。
それにしても連日のように、介護事業者での虐待・暴力事件が報道されると、すべての介護関係者が同じ穴のムジナとみなされてしまう。
普通に人を護る対人援助サービスを行っている人にとって、これほど迷惑なことはない。
目の前に存在する介護サービス利用者の方、その一人一人を愛おしく見つめ、最大限の配慮を行いつつ、日々の日常支援に努めている介護関係者にとって、これほど腹立たしいことはないのである。
私たちの手は、利用者の顔を殴るためにあるのではなく、温もりを利用者に届けて、心安らかになってくれるように差し伸べるためにあることを忘れてはならない。
※別ブログ「masaの血と骨と肉」と「masaの徒然草」もあります。お暇なときに覗きに来て下さい。
北海道介護福祉道場あかい花から介護・福祉情報掲示板(表板)に入ってください。
・「介護の誇り」は、こちらから送料無料で購入できます。
・masaの看取り介護指南本「看取りを支える介護実践〜命と向き合う現場から」(2019年1/20刊行)はこちらから送料無料で購入できます。
新刊「きみの介護に根拠はあるか〜本物の科学的介護とは」(2021年10月10日発売)をAmazonから取り寄せる方は、こちらをクリックしてください。