僕は今、大分県日田市に滞在してる。
今日は日田市役所で朝9:30〜11:30分までの比較的早い時間の講演予定が入っていたため、昨日のうちに日田市入りしていた。
日田市を訪れるのは3回目であるが、前回はコロナ禍以前の訪問だったので、およそ4年ぶりの天領の地への訪問となった。懐かしい日田の街を歩いていて、よさげに思えたお店で夕食をとった様子を別ブログで伝えているので、「masaの地と骨と肉〜そんなにトロトロ活動するな」も是非参照いただきたい。

さて今回は、日田市と日田市介護支援専門員協会が共催する講演会で、「君の介護に根拠はあるか〜相談援助職としての心得」をテーマに講演を行った。
日田市内の居宅ケアマネ・施設ケアマネがたくさん受講してくれて、先ほど盛況利に講演を終えたところだ。
そこでも話したが、24年度の介護報酬改定では、居宅介護支援費にも、科学的介護情報システム(LIFE)が新設できないかと検討されている。(※新加算を創設する予算がなかなか見つからないことで、来年度は見送りの可能性もある)
この加算は2021年度の報酬改定で多種類のサービスに横断的に新設されており、各事業者がサービス提供している利用者データを、「科学的介護情報システム(LIFE)」に定期的に送ることによって算定できる加算である。
ただし算定要件には、LIFEからのフィードバックをPDCA活用することが示されているので、正確に言えば情報提出するだけでは算定できない加算であるといってよい。
フィードバックとは、LIFEが各事業所の提出情報を解析して読み取った、「○○すれば○○となるのではないか」という科学的根拠(エビデンス)につながる情報であるはずだ。それをPDCA活用=ケアプランに反映させ、実施することによって、自立支援やQOLの向上などの目的達成に資することができるといえるわけである。
居宅介護支援にこの加算が新設された場合には、居宅ケアマネはサービス担当者会議等で、自分が計画した各サービスの(通所介護・通所リハビリなど)にフィードバックされたものを提出させ、その内容を居宅サービス計画書に反映する形で加算が取得できる方法が模索されている。
施設サービスの場合はすでにこの要件が生きていることになり、施設ケアマネはフィードバック情報を施設サービス計画書に反映する必要がある。
このフィードバックは今年6月にやっと正式版がダウンロードできるようになった。(参照:報酬改定に影響する二つの出来事)
しかしフィードバックの実態は、全国平均値と提出事業所のデータ数値を比較するものでしかない。地域性も属性も全く異なる利用者の数値を、全国平均値と比較検討していったいどんなエビデンスにつながるというのだろう・・・。
先日ある国の関係者に、「こんなオンボロなフィードバックは、PDCA活用なんてできませんよ。」と指摘したところ、「フィードバックに頼るな。もっと現場発信のエビデンスを見つける努力をしなさい」と言われた・・・。
「はあ?」・・・フィードバックのPDCA活用をすれと言っていたのは国ではないか。そしてそれができるって言っていたよね。
この疑問に対して国は、フィードバック内容は今後も改善していくが、重要なことはLIFEによって、利用者の個別情報を定期的に数値確認して、各事業者が利用者の状態を多角的に検証できるようになったという点にあるそうだ。つまり従前までの介護事業者は、あまりに利用者の個別データに無関心で、データを拾い出して状況判断する視点に欠けていたということである。
なんか21年の改定時に言っていたことと、あまりに違うことを言っているような気がするのは僕だけだろうか・・・。
そもそもデータを定期的に集めて、それを解析して介護現場にエビデンスとなり得るフィードバックを行えないシステムになんの意味があるというのだろう。そんなシステムにいったいいくらお金をかけているのか。
どちらにしてもLIFEからのフィードバックは現在の状況がしばらく続くので、送られてきた全国平均値と、情報提出事業所の数値を比較して、読み取れることを計画書に反映するしかない。
しかしPDCA活用の状況については、運営指導などで細かく指導することはないようである。それをしてしまえばLIFEが浸透・普及しないからだ。
今はこのシステムを利用する事業者を全国に増やしていることが最大の目的とされているので、フィードバック内容を話し合う場を設けて、それを検討しておれば、問題なく加算算定はできるだろう。
全国の介護支援専門員のみなさん、こうした状況なので、おおらかに構えてPDCA活用していますよとポーズだけでも取れるようにしようではないか。




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