来年度の介護報酬改定はどうなるのか・・・このことが介護事業経営者や管理職の皆さんの一番の関心事であることは間違いないと思う。

日本ではデフレが長く続いてきたが、物価や賃金が上がるインフレの局面に変わっている。インフレ局面での介護報酬改定は初となるのだから、今までとは考え方を抜本的に変えて、報酬改定のあり方を新たに組み立てていくことを求める関係者の声は国に届くのだろうか・・・。

内閣改造で厚労大臣として入閣した武見敬三厚生労働相は、14日に初登庁して記者会見を行った際に、「賃上げや物価高騰への対応は重要な課題」と言明しており、関係者の大幅プラス改定への期待は増すばかりである。

新大臣の発言が、単なるリップサービスで終わらないことを祈るばかりである。
ヒガンバナ
ところで9/15の介護給付費分科会では、制度が複雑になりすぎているとして、加算などの整理が必要だとの声が挙がった。

現在、介護報酬のサービスコード数は2万1884となっており、その数は制度発足当初(1760)の12.4倍に膨らんでいるという事実がある。

特に加算コードが大幅に増えているが、2022年度に全く算定されていない加算は20種類もあることに加え、算定率が平均1%未満の加算( ひと月あたりの算定事業所数が平均9事業所以下のものに限る。)が更に41種類ある。 

こうしたほとんど算定されていない加算を整理することも含め、報酬体系の簡素化をめぐる議論を深めていく必要があることに異論はない。

ただそうなると科学的介護はどうなるのだという声も上がってくるだろう。科学的エビデンスに基づいた介護は、その結果を評価することとセットで考える必要がある。そのためアウトカム評価の視点は欠かせないともいえる。

アウトカム評価ということは、何らかの条件を付けて、それをクリアした事業者に対して高い報酬を手渡すという意味だから、そういう部分の加算はなくすことはできないということになる。

現に3/6に開催された規制改革推進会議のワーキンググループでは、「次期介護報酬はアウトカム評価を拡充する方向で検討する」という考え方も示されている。

15日の介護給付費分科会でも、「趣旨が重要な加算もある」としてアウトカム評価拡充に一定の理解を示す意見も出されている。

複雑化した報酬算定構造をシンプルに組みなおすために、加算の削減整理が叫ばれる一方で、高品質なサービスや、介護人材が減る中で求められる介護DXと生産性の向上につながる科学的介護の実現に向けた加算評価の必要性が叫ばれているのである。

この整合性をどのように取っていくのかは、かなり難しい問題になる。そもそも算定率が低い加算を簡単に廃止できない事情もある。

算定率がゼロでなければ、算定している事業者が存在するということだからだ。算定率が低いという理由で加算廃止してしまう場合は、加算分は報酬包括されることはない。そうなると従前まで頑張って国が求める要件をクリアして加算算定していた事業者が、その評価の梯子を外されて収益が下がることになる。それは多くの場合、納得しがたいことだろう。

一方で、加算要件の中には、サービスの品質評価としては疑問符がつくものがある。

例えば前回の報酬改定で新設された通所サービスの「入浴介助加算」・・・自宅で入浴できることを目的として入浴環境や動作を評価の上、個別入浴計画を作成して介助を行っていくことが評価された新加算の算定率は、今年4月時点で10%と低い状態が続いている。自宅の入浴評価なんて必要ない・余計なお世話だという利用者の拒否感が強いからである。

そうした利用者ニーズではない加算は廃止に向けて検討すべきではないか。

また居宅介護支援の特定事業所加算については、要介護3以上の利用者の割合が40%以上でないと算定できないことになっているが、これは重度者対応をしっかり行い、重度者支援スキルが十分あるという評価であると思うが、実際には軽度利用者の切り捨てという方向でしか算定不可能な加算となっている。

こうした加算は必要ないと切り捨てていくべきではないのだろうか。そのような形でしか加算の整理は不可能だと思う。






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