次期介護報酬改定(2024年4月〜)について意見交換を行う介護給付分科会・・・ここは審議の場ではなく、井戸端会議の場でしかない。
国が勝手に何かを決めているとの批判を受けないように、一応審議しているふりをするアリバイ作りの場が社会保障審議会の各委員会であることは、このブログでは何度も指摘し続けてきたことだ。
それが証拠に介護給付費分科会で何かを決めたことはいまだかつて一度もないという事実がある。
そんなふうに介護給付費分科会は国が決めてきたことについて、委員が意見を述べているだけの場である。それも各委員のバックにある団体等の利益を代表する形で、各委員が勝手に意見を垂れ流して終わるのが常である。
その意見も随分偏見に満ちたものだと思うものも少なくないが、たまにはまともな意見に出会うこともある。
しかしそこでどんなに的を射た意見が示されたとしても、国にとって不都合な意見であれば馬の耳に念仏である。無視され終わるか、一応参考にしておきましょうといって忘れ去られるかが落ちである。
よって各委員の意見に注目するよりも、各委員に配布され公表されている国資料を読みこんだ方が、よほど必要な情報が得られるというものである。
さてそんな介護給付費分科会は、各サービスごとの論点を明示する1ラウンド目が終了した。
今後は9月にかけて、事業者団体等のヒヤリングを行ったうえで、10月〜12月にかけて第2ラウンドとして、「具体的な方向性議論」を行い、12月中に、「報酬・基準に関する基本的な整理・とりまとめ」が行われる。
それによって毎回クリスマスが近い時期に改定率が示されることは、既に関係者ならご存じだろう。
よく質問される介護保険施設の食費と居住費の標準費用の変更についても、介護給付費分科会での情報のやり取りがない状態で、報酬単価が示されるぎりぎりの時期に急に決定事項として示されるので、その時期になるまで不明と言わざるを得ない。・・・総務庁の家計調査では、世帯支出は確実に増加している結果が示されているのだから、食費の標準費用については、物価高=支出増加という結果に応じて、確実にアップしてほしいものである。
それにも増して関係者が期待するのは、今回の介護報酬改定が価高等を反映する形で大幅なプラス改定となることである。
そのような期待に応える形で、改定報酬は関係者にとってクリスマスプレゼントになるのだろうか・・・。

しかしそれらの期待を大きく裏切る形で、マイナス改定という歓迎できない贈り物が届き、背筋が寒くなりながら年越しを見据えるブラッククリスマスになる可能性は決してないとはいえない。
特に今回の改定は不透明要素が多すぎる。
特にこの時期になってもまだ、昨年末の介護保険制度改正のまとめで先送りされた問題の結論が出ていないのは気がかりである。
一つには、高所得者の保険料を引き上げ、それを財源として低所得者の保険料を引き下げる改正。二つには自己負担割合が2割となる一定以上所得者の範囲拡大。三つには老健と介護医療院の多床室の室料負担である。
特に一定以上所得者の範囲拡大が実現しないと、プラス改定の財源が存在しないということにもなりかねず、その場合はマイナス改定となる懸念さえ生ずる。
しかし福島第2原発の汚染水処理問題に絡んで、中国による海産物の全面輸入禁止という事態を受けて、それに無策と批判される内閣の支持率はさらに低下傾向にある。もくろんでいた年内の解散もままならないこの状況で、果たして岸田内閣は国民の痛みにつながる自己負担増に踏み切れるかどうかが問題となっている。
こうした厳しい状況であることを踏まえたうえで、業界団体の連携協力で、強く報酬引き上げを求める声と力を結集せなばならない。
介護給付費分科会に提出する資料を作る前の段階に強く働きかける政治力等も当然必要となってくる。
少なくとも介護給付費分科会の委員発言で、何かが変わったり進んだりするという勘違いをしてはならないのである。
決して表に出ないところで事態は進行しているのだ。




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ご承知のようにこちらの思惑に関係なく、財布を握っている方々の事情如何によりますし。さらに一寸先は闇、最悪なクリスマスプレゼントも、考えておくべきですね。
masa
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