今月15日、東京都世田谷区に住む71歳の男性が、自宅の寝室で68歳の妻の腹部などを殴ったり蹴ったりする暴行を加え、外傷性ショックで死亡させたとして逮捕される事件が起きた。

死亡した妻は、今年に入ってから認知症を患っていたとみられ、容疑者となった夫が介護していた。

事件当時、就寝しようとした容疑者に被害者が何回も話し掛けたといい、龍雄容疑者は調べに「煩わしくなり殴った」と供述しているそうである。被害者は暴行後に入浴したところ意識を失い、龍雄容疑者が119番通報して事件が発覚している。

腹が立ったにしろ、自分の妻を死ぬまで殴るけるする必要はないなどと、容疑者を批判することはたやすい。

しかしある日急に自分の家族が認知症になった備えをしている人などいないことを考えると、その状態に大きな戸惑いを感じて、その状態が積み重なることでストレスが生じて煮詰まってしまい、普段の自分からは考えられないような異常な行動をとってしまうことはあり得ることだろう。

そもそもこうした事件当時者は、認知症の専門家でもないし、介護の専門家でもない場合が多いのである。専門知識も介護技術も持たない人が、ある日急に認知症の家族を介護しなければならなくなる・・・。その人たちに、きちんと身内のケアをしろというだけでは、こうした問題は解決しないであろう。

この事件の報道などを目にしたり耳にしたりした人の中で、一度でも認知症の家族を介護した経験のある人は、自分もそういう負の感情を抱いたことがあり、容疑者の気持ちもわからないではないという人も多い。

認知症の人に対するケアの蘊蓄(うんちく)を持っている人でも、いざ自分の身内が認知症となり、毎日終わりの見えない介護を行わねばならない立場になると、その蘊蓄を生かすことができなくなってしまう場合もある。

だからこそ認知症に対する理解を今以上に進めねばならない。特に介護関係者ではない、一般市民の皆さんに、認知症とは老化現象の一つに過ぎず、社会的地位や日頃の行いや、本人の性格に関係なく発症するものであることを伝え続けなければならない。

誰しもが認知症になり得ること、誰しもが認知症の身内を介護する立場になり得ること、そしてその時の備えや心構え、具体的なケアの方法論、相談できたり支援の手を差し伸べてくれる機関や制度・・・そうしたことを広く伝え続ける必要がある。
葛飾認知症研修ポスター
9/23(土)の秋分の日に、東京都葛飾区のテクノプラザかつしかで、葛飾区介護サービス事業者協議会主催認知症研修会が行われるが、そこで僕は講師役を務めて「認知症を知り、地域で支え合おう〜愛を積みながら認知症の人とともに歩む介護 〜」というテーマで、13:30〜120分講演を行う予定になっている。

この研修会はコロナ前には毎年行われていたものであるが、コロナ禍以後中断しており、今年が4年ぶりに復活した会場研修である。

どなたでも無料参加できる研修で、申し込みも必要ない。

参加希望の方は、葛飾区介護サービス事業者協議会主催認知症研修会の文字リンクに張り付いたポスターを参照いただいて、当日直接会場までお越しいただきたい。

それでは秋分の日に会場で愛ましょう。






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