7月28日、最低賃金(時給)を議論する国の審議会は、その額を1.002円とすると決めた。41円アップは過去最大の引き上げ額となる。
※ちなみに僕が住む北海道は40円アップの960円で、全国平均よりも低い水準である。

新しい最低賃金は10月上旬から適用とされる予定であるが、巷ではアップ分を価格転嫁できない中小企業経営者からの悲鳴も聞こえてくる。

しかし最低賃金の引き上げを嘆くことは経営者として情けないと思うし、そういう情勢でもないだろうと僕は思う。

なぜなら現実には、最低賃金で職員募集をかけても、応募してくる人はほとんどいないからだ。

その背景には多くの企業が今年の春闘以後、大幅な賃金改善を行っているという動きがある。

さらに今月7日に行われた人事院勧告では、国家公務員一般職の2023年度の給与について0.96%の引き上げを勧告している。これは26年ぶりの高水準となっており、高卒者と大卒者の初任給については1万円超のアップとしている。

このように官民ともに大幅な給与引き上げが行われているので、それについていけない企業からは労働者が消えていくことを覚悟せねばならない。

そういう意味ではパート職員等の賃金を最低賃金に合わせているだけでは、事業を続ける人材確保自体ができなくなるとさえいえる。最低賃金の引き上げ悲鳴を上げている暇があれば、もっと給与を支払えるような経営努力をしなければならない状況だ。

そのような厳しい状況であることを理解して、経営者はもっと経営手腕を発揮し、収益を挙げて、できる限り従業員に還元しなければならない。それが無理なら経営者の地位を捨て、自ら賃金を得る労働者階級に降りていく必要がある。そういう時代になっているのである。
闇の手前
介護事業も同様だ・・・いやそれ以上に深刻だ。

ただでさえ物価高で収支差率が下がっている介護事業経営ではあるが、来年の介護報酬でその分を勘案したプラス改定が行われるのかどうかは今のところ不透明だ。

しかしそうもいっていられない。

介護事業はICTやその他の機器に頼ることができず人手をかけてしか行えない業務が他の産業に多いのだ。

よって人手不足=廃業につながりかねないからだ。

そのため介護報酬改定に関して、サービスごとに課題や論点などを整理する第1ラウンドを終えた介護給付費分科会では、介護職員・ホームヘルパー・ケアマネジャーなどの人手不足の深刻さが強調され、他産業で賃上げが進むなか人材流出が起きているとの声も続出した。

よって今後の報酬改定議論の主要テーマの1つが、「人材確保と現場の生産性向上」であることは間違いのないところだ。

しかし介護DXを急いで、より少ない人手によって業務をこなすように生産性を高める必要性は理解できるが、現行の技術ではそのことの限界点はかなり低いところにあり、まだまだ人手に頼らざるを得ない部分が多い。

よって早急に給与改善に取り組んで、人が離れていかない介護事業経営・人が張り付く介護事業経営を目指していかねばならない。

そんな中で、介護業界にも大きな動きがあるが、字数が多くなったので、そのことは明日の更新記事で詳しく述べてみたい。(8/11更新記事(その2)に続く)
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