科学・生産性・ICT・DX・・・介護事業経営に求められるものとして盛んに取り上げられるキーワードの数々・・・。それに対して人間愛を持ち出すと、非科学的で生産性に欠けると非難される昨今の風潮がある。

果たして愛を語ることは、介護事業を堕落させることになるのだろうか。

しかし科学的介護とは、そんなに優れたものを生み出すのだろうか・・・介護にも科学をと声高らかに唱えられているが、果たして科学は介護サービスの質を本当に高めることができて、利用者を幸せにできるのだろうか。

原因と結果の因果関係がはっきり見えるものを科学(サイエンス)と呼ぶ。それに対して原因と結果の因果関係が全く見えないものは隠秘学(オカルト)と呼ばれる。

しかし隠秘学(オカルト)は、見えていないだけで非科学的認識ではない。つまり科学と魔術も相反するものではなく、科学は見えているだけで、魔術は見えていないものであるにしか過ぎない。

そりゃあ見えた方が、見えないより幾分かましだろう。しかしその違いは、見えていた方がうまく使い分けることができて便利だという程度の違いでしかない。

繰り返しを恐れずに言うが、科学(サイエンス)隠秘学(オカルト)など、本来その程度の違いしかないものだ。

それなのに隠秘学(オカルト)は介護と無縁の存在だと思っている人がほとんどだ・・・いや無縁どころかそんなものは忌避しなければならないもので、積極的に排除しなければならないと考えている人がほとんどだろう。

しかし科学と隠秘学は、前述したように見えているか・見えていないかの違いでしかないのである。

よって科学的介護魔術的介護と置き換えて表現したって、そこで実行するものは大した違いのないかもしれないのだ。
百鬼夜行
そんな不確実なものに寄り掛かった未来志向でよいのだろうか。そこで生まれるのは科学と称する何でもありの介護だ。まさに暗夜に妖怪が列をなすかのような百鬼夜行の介護が生まれかねない。

そもそも100年以上続いてきた介護実践で見つけられなかったものが、科学的介護情報システム(LIFE)によって、にわかに見つけられるのだろうか。

しかもそれは介護実践をしたことがない人が組み上げたシステムが読み込むデータでしかない。さらにそのデータも全国平均値とデータ提出事業者の数値比較とか、前回までの提出データ値と近直データ値7の比較という極めてアナログな、コンピューターを使わなくても抽出できるものでしかない。

そこで新しい効果的な介護の方法論が生まれると考えるのはあまりにも安易ではないだろうか。

それよりも私たちは介護サービスの様々な場面で、ノウハウを得てきているではないか。

認知症で過去の記憶を失って混乱している人にどう接したらよいのかという方法論は、あの手この手と持っている。同じ方法が他人に通用しなくとも、これがダメならあれはどうだというバリエーションを無数に持っているはずだ。・・・重度の身体障碍の方への対応もしかりであり、介護実務で今すぐ通用する科学は、実は私たちの頭の中には存在しているのだ。

それを言葉にして、文章にできるように努力することが大事だ。私たちが努力して蓄積してきた知識や思考の方法は、介護業界全体の財産として私たち自身の言葉と文章で伝える責務があるということだ。

その方法論とは型(かた)に縛られるものではなく、他人(ひと)に対する人間愛を注ぐ方法論であったりする。目に見えない思いを、『思いやる姿勢』という形で見える化する方法論でもあったりするのだ。

そのような方法論を堂々と伝えてほしい。

愛情という言葉を照れずに使い、愛を注ぎ人の暮らしを豊かにする方法論を伝えてほしいと心から思う。

LIFEを利用して国と企業が作り出す科学的介護よりも、それはずっと利用者が幸せになることができる方法論ではないのかと思う。
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