介護保険制度改正や介護報酬改定は、介護事業経営に大きく影響する問題である。その為いち早く最新情報を手に入れて、必要な対策を練ることは重要である。

よって介護事業経営戦略上、事業主体独自にいかに正確な情報をどう手に入れるか、それをどう分析するかというシステムとスキルを備えおく必要があることは間違いないところだ。それが今後の事業経営状況を左右すると言っても過言ではない。

ところがこの情報の取り扱いを間違って捉えている関係者も少なくない。

インターネット上に掲載されている情報を取得するだけで、最新情報を手に入れた気になり、その情報の分析もネット上で有識者と言われる連中が解説していることを鵜呑みにするだけで済ませている関係者が実に多い。

そういう人たちは、次期報酬改定が物価高も折り込んだプラス改定になるとか、いやいやそうではなく、厳しい財政事情に変わりはないのだから一時的な物価高の費用は折り込まないしプラス改定とは限らないという日々変化する情報内容に一喜一憂している。

それに何の意味があるのかを考えてほしい。揺れ動く情勢に心を惑わせていても、介護事業経営には何にも役立たないのである。

例えば、骨太の方針2023を読むと介護報酬の大幅アップは厳しという見方がある。

介護事業関係者は、そんなことを論評するだけでは何にもならないのだ。
実践の場に評論家はいらない
そもそも骨太の方針2023をよく読むと、報酬が上がるとも下がるともいえない内容でしかない。両論併記の玉虫色の文章でしかないのである。それは衆議院の解散含みの今後の政治状況と相まって、情勢が変化するという事情を鑑みて読んでおく必要があるものだ。

関係者が今すべきことは、そのような文章に心を惑わせることではない。

勿論、報酬アップは簡単に勝ち取ることはできないと考え、厳しい状況に備えた経営戦略を練っておくことも必要となるだろう。

しかし昨今の物価高と人手不足に伴う人件費の高騰は、一企業の経営努力だけでは補いきれない部分があることも事実だ。

介護保険制度誕生から前回の報酬改定までは、我が国はずっとデフレ基調で経過してきたわけである。しかし今現在はそこから脱して、インフレに振れた中での報酬改定となっていることを忘れてはならない。

脱コロナ・ウイズコロナ・アフターコロナの経済状況は好転しており、企業収益は増加し国の税収も増加しているのである。

さらに他産業では人材確保のために、人件費を大幅にアップしているのである。

そのような中で、国民の福祉と暮らしを護る介護事業に対する報酬が、そうした社会情勢を織り込まない価格設定に終わるとしたら、人材枯渇と事業廃止という流れが加速し、国民の福祉が護られなくなる。

そうであれば、介護事業関係者として今一番しなければならないことは何か。それは報酬アップの必要性と、どの部分に手当てが必要なのかというニーズをしっかり根拠に基づいて訴えていくことである。

介護事業者全体の力を結集して、このことを強く訴えその声を国に届けることである。

同時に、そうした声が正論であると国や国民の支持を得るための努力も不可欠だ。

それはとりもなおおさず、介護サービスが国民の暮らしをしっかり護っていることを証明することでしか実現しない。

利用者への配慮やマナーに欠けるタメ口対応が当たり前のサービスに、国費をかけてよいなんという指示は得られない。

きちんと利用者を護る介護サービスの品質を担保して、すべての国民が自分を護ってくれるのが介護サービスであると認識できる事業実態をアピールしていかねばならない。そうした実践と実績が伴わないと、要望は正論視されない。そこを真剣に考えてほしい。

どちらにしてもくだらない評論家の、くだらない論評などに耳を貸している暇はないのだ。実務者が評論家で終わってもならないのである。

まずは行動しようではないか。行動する場所はそれぞれのステージで構わないではないか。その代わりに僕は行動する人を後押ししながら、それらの人々の声を発信する役割を担うつもりだ。

今いる場所で、できる限りのことをしていきましょう。
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