5/30に新潟市中央区内の介護施設内で、入所中の60代女性にわいせつ行為をした疑いで71歳の男が逮捕された。
男は介助に乗じて女性の着衣に手を差し入れ、直接胸を揉むわいせつ行為をした疑いが持たれている。本件は被害者家族の通報により発覚した事件であった。
この介護施設はどうやら特養らしく、男はここで「介護補助者」として働いていたようである。(※容疑者は事件後依願退職している。)
介護補助者」とは、「介護助手」と同じ意味だろう。主たる介護業務には当たらないが、配膳や移動介助などの介護職の補助的業務に携わっていたのだと考えられる。
71歳という年齢からすると、定年退職者を助手として再雇用したのではないかと思われる。それも介護と関係ない他業種の退職者の再雇用かもしれない。
そういう人たちが、すべて介護の仕事に向かないというつもりはないが、このような事件が起きると、人材不足対策として国が推奨する助手活用のリスクもあぶりだされてくるような気がする。
介護報酬改定議論が本格化する中で助手活用が議論の俎上に上り、場合によっては助手活用を介護職員配置基準緩和とリンクさせようとする向きもある。
しかし人手確保の網を広げるということは、本件のような事件のリスクも広げるという意味である。それを防ぐ手立てはあるのだろか・・・。
助手として再雇用される人は高齢者が多くなるのだから、介護保険施設の利用者で、要介護者が自分より若い異性であるというケースも多くなるだろう。
そうであっても普通の感覚なら、利用者に性的欲求を感ずるなんてことは信じられないが、数が増える高齢介護助手の中には、よこしまな欲求を胸深く抱え込んでいる人が含まれてしまう恐れがある。
こうした事件を防ぐ手立ての一つとして、同性介助を徹底するという方策が考えられる。しかし介護保険施設の状況を鑑みると、女性利用者が8割方を占める施設が多い中で、その比率に応じた職員の男女別配置ができるかと言えば、それは極めて難しいといえ現実的な対応策とはなり得ない。
教育訓練・再教育などというワードが頭に浮かぶが、何十年もの間、介護とは関連性のない職業を勤め上げた人がそこで培った価値観を、簡単に変えることができるとは思えない。
年齢を重ねた人ほど、教育効果というのは出にくくなるだろう。定年退職して再雇用された人であればなおさらだ。そもそも性格自体は変えられないし、雇用の網を広げれば広げるほど、性格むき出しで仕事に向かい合う人も多くなることだろう。
その中には、心身に障害を持つ人に対する偏見を持っている人も居るかもしれない。人として存在していることそのものに価値があるという人間尊重の価値前提など理解できない人がいて、要介護者に対して施し意識や上から目線が抜けない人がいるのかもしれない。
そのような人たちは、平気で要介護者の方々の尊厳を損なう対応に終始する恐れもある。
定年退職後もなおかつ働きたいと思う理由は様々で、中にはお金に困って働き続けなければならない人も居るのかもしれない。そういう人たちが密室化されやすい介護事業者の中で、認知症の人の財産などを搾取するケースも増えるのではないかという危惧もぬぐえない。
そうであれば介護事業での助手活用は、安易な採用をしないという前提条件が必要不可欠になる。採用前の人物評定を厳格に行い、採用後の人事考課も厳しくしていく必要があるだろう。
どちらにしても安易な助手活用・安易な他職種の定年退職者の再雇用は、介護事業経営リスクに直結しかねない問題を孕んでいることを理解して、リスクマネジメントに努めていかねばならない。
それにしても先が思いやられる・・・。
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