神奈川県川崎市の有料老人ホーム『Sアミーユ川崎幸町』で、入所者3名を3階のベランダから投げ殺した事件(2014年)について、昨日から今井死刑囚の犯行を認める告白文の内容を報道する記事がネットをにぎわせている。
死刑判決を受けていた今井隼人被告(30)が、最高裁への上告を取り下げた件については、「川崎老人ホーム連続殺人事件被告の上告取り上げ報道に触れて」で解説・論評している。
そこでは、上告取り下げの理由もただ疲れたというだけで具体的ではなく、なおかつ事件の真相にも触れずに被害者への謝罪もなく、さぞ遺族の方々は悔しい思いだろうという意味のことを書いた。
しかしその後、今井死刑囚の上告取り下げ理由と、犯罪動機・事件への後悔の念と謝罪の気持ちが綴られた告白文がネットで公開されていることが分かった。
死刑囚への取材を続けるノンフィクションライターの高木瑞穂さん(47)が5/31、自信の投稿サイトNoteに、川崎唐人ホーム殺人事件で死刑が確定している今井死刑囚が執筆した告白文を公開したものである。

そこには犯行動機として、「入居者がいなくなることによって、全体の入居者数と業務量が減ることは事実。そういった気持ちからやったのかもしれない」・「(専門学校で身に付けた心肺蘇生法の)技術を周りに見せつけたいとの気持ちが強くあった」と綴られている。
業務負担の軽減を目的にした殺害動機・・・それはあまりにも理解し難い動機である。救急救命士という資格を持つ今井死刑囚が、その技術を見せつけようとした自己顕示欲からの殺害動機というのも、転落死させては救急救命もままならないだろうと思え、これも理解しがたい。・・・そもそも身体に障害を持つ高齢者を、3階から転落させて、「死ぬとは思わなかった」という感覚自体が理解不能である。
おそらくこの犯行には、同死刑囚の発達障害とも思われる心的要因が関係しているのだろう。そこから発生した常人には理解できない、「心の闇」が深く事件と結びついており、その複雑な心情については、本人と言えど言葉で表すことができないものなのだろうと思う。
よってどのように考察を深めようと、同じ事件を防止できるような教訓を得ることなんて不可能だと思う。
介護事業経営者などの関係者は、自分の経営管理する職場に、このような人物が存在しないことをただ祈るしかないという思いではないのだろうか・・・。
告白文中には、「いまは転落させてしまったことについて、ただただ申し訳なく思っています。」という一文が見られる。
遺族の方々にとって、それはあまりにも軽い謝罪の言葉にしか思えないかもしれない。だが同死刑囚が上告審を争うことをずっと悩み、その悩みが限界に達して上告取り下げに至ったこと、そして告白文の中に謝罪の一言を遺していることを、怒りと苦悩を少しでも和らげる要素として受け入れていただければと願うばかりである。
もし重ねて願うことができるとすれば、今井死刑囚に対して、謝礼を伴う取材元への告白文だけで謝罪するのではなく、遺族の方々に直接お詫びの言葉を送る努力をしていただきたいと思う。
改めて本事件の被害者の方々のご冥福をお祈りし、このような事件が二度と起きないことを祈念したい。合掌。
登録から仕事の紹介、入職後のアフターフォローまで無料でサポート・厚労省許可の安心転職支援はこちらから。




北海道介護福祉道場あかい花から介護・福祉情報掲示板(表板)に入ってください。
・「介護の誇り」は、こちらから送料無料で購入できます。
・masaの看取り介護指南本「看取りを支える介護実践〜命と向き合う現場から」(2019年1/20刊行)はこちらから送料無料で購入できます。

新刊「きみの介護に根拠はあるか〜本物の科学的介護とは」(2021年10月10日発売)をAmazonから取り寄せる方は、こちらをクリックしてください。