来年4月から、介護支援専門員の実務研修や主任介護支援専門員更新研修などのケアマネが受講する全法定研修に、「適切なケアマネジメント手法」が位置付けられている。

そこでは基本ケア尊厳を重視した意思決定の支援・これまでの生活の尊重と継続の支援・家族等への支援)に加えて、疾患別ケアの修得が重視されることになっている。

そのため脳血管疾患・大腿骨頸部骨折・心疾患・認知症・誤嚥性肺炎の予防というケアマネジャーが取り扱う可能性が高い5つの疾患別に、想定される支援内容やアセスメント・モニタリングの視点を学ぶことができるカリキュラムが作成されている。

勘違いしてはならないことは、この5つの疾患について、ケアマネジャーは医師並みの知識を持たねばならないというわけではないということだ。

それぞれの疾患の基本的な特徴を理解して、ケアマネジメントを行うにあたって注意すべき点や、医師に尋ねるべきこと・報告すべきことは何かということを理解することが重要になるのである。
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例えば心疾患マネジメントで重要なことは、心不全をいったん発症すると基本的に根治しないため、弱った心臓をいかにサポートし、できるだけ症状の悪化のスローダウンを図るケアが必要になるということである。

そのためケアマネが心不全患者を担当する際には、「この人は心臓が弱くて、症状の悪化や再入院のリスクが高いのだ」と認識する必要がある。

心不全を発症して心機能が低下した人であっても、身体機能は元のまま保たれている人は多い。その為心不全発作後に入院し、治療後に退院した人のアセスメントを行った結果が、心不全発作を起こす前の結果と変わらないことがままある。

しかし心臓の機能は確実に低下しており、今後も発作を繰り返すたびに、さらに機能低下していく恐れがある。そこで大事な事は、心臓に負荷をかけすぎないようにして、できるだけ心不全発作が起きないようにケアすることだ。

そうであれば過去にできていることであっても、すべて同じように自分で行うのではなく、人の手を借りて休むという計画も必要になる。

全ての家事を自身でこなしていた人であっても、一度心不全発作が起きた場合は、発症前とアセスメント結果が変わっていなくとも家事負担を以前より減らす必要があるのだ。そのために週何度か、訪問介護の生活援助を積極的に導入するという計画が必要になるのである。

このようにこうしたケースについては、自分ですべて行うのではなく頑張りすぎないように他人の手を借りて休むことが、長期的にみると自立支援につながるのである。

なんでも自力で・・・というのは、自立支援という概念を著しく狭める見方でしかないということを理解してほしいと思う。

さらに心不全は、「塩分過多」と「水分過多」に気を付ける必要があるということは、ごく当たり前の知識として備えておかねばならない。健康な人と同じ食事にしてはいけない(塩分に特に注意)ということだ。

一度心不全発作を起こした利用者に対して、ケアマネジャーが持つべき心構えとは、本人に寄り添うだけではダメであり、心不全は、「介護もしながら、医療対応も重要」という意識を持つことではないかと思う。

そういう意味では心疾患マネジメントについては、医師へのつなぎ方が問われるケアマネジメントであると言える。

利用者が息苦しさを感じている場合や、体重や血圧に変化がある場合は、「どんな様子で苦しそうなのか」・「普段の数値とどれだけ違うか」などを正確かつ分かりやすく、医師に伝えるスキルがケアマネジャーに求められてくる。

そうなると当然のことながら、ケアマネジャーも利用者の普段のバイタルサインや体重なども把握しておくべきであり、ここを訪問看護師等の医療・看護関係者任せにしないという意識づけも重要になるだろう。
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