介護事業者の会計年度は、国のそれに合わせて4月〜3月としているところが多い。
よって3月末までの収支を計算して決算報告書を作成することになる。その作業を4月中に終えて、GW明けから5月中旬ころまでに決算理事会を行うことになる。
ということで5/23となった今日までに決算理事会を終えている事業者が多いことだろう。報告は無事に済んだだろうか・・・。施設長などのトップは、年度末の決算報告書を見るまでもなく、毎月の収支状況を把握しているので、年度末になってから結果がどうなるかと気をもむことはないが、それを理事会に報告するとなると、また違った緊張感があるだろう。
ましてや単年度赤字決算にでもなろうものなら、経営責任が問われかねない。個人商店的な経営母体であっても、単年度赤字を黙って見過ごす理事ばかりではないだろうから、赤字の理由と、今後の黒字転換に向けた経営戦略が問われるところだ。
幸い僕が社会福祉法人の総合施設長を務めている頃に、赤字決算を出したことはない。

しかし近年の介護報酬改定は、プラス改定であっても、それは従業員に全額手渡せばならない処遇改善加算等がプラスとなっているだけで、介護事業者の収支改善につながる基本サービス費はほとんど上がっていないのだから、事業経営は厳しいものになっていると言える。
特に介護人材不足の影響による人件費関連支出の増加と、この物価高による影響は、介護事業経営には大きなダメージを与えていることだろう。
現に福祉医療機構が4月公表した調査の結果では、昨年度の通所介護の46.5%が赤字経営であるとされている。全国老施協の調査でも特養(従来型)の4割強の施設が赤字であるなど介護事業者は厳しい経営状況に追い込まれているのである。
そうであるがゆえに介護報酬改定の動向に注目さえるところである。
このことに関しては、3/12日に行われた『日本介護経営学会主催シンポジウム』で、厚労省大島事務次官が、「これまでとは根本的な考え方を変えて臨む必要がある。日本ではデフレが長く続いてきたが、物価や賃金が上がるインフレの局面に変わる。これに応じた報酬改定のあり方を新たに組み立てていく」と大幅なプラス改定を示唆するような発言をしている。
介護報酬改定の各論審議の前に、事務次官がこのような積極的発言をした記憶は過去にはない。それだけ異例の発言であると思うが、その背景には岸田首相が企業に対し、物価高以上の賃上げを呼び掛けた際に、「政府としても、公的セクターで働く労働者や政府調達に参加する企業の労働者について、インフレ率を超える賃上げが確保されることを目指す」と公言していることが影響していると思う。
しかし財務省の態度はかたくなだ。
5/11に行われた財政制度分科会では、物価高に対応した報酬アップに難色を示し、財源がないとしてプラス改定に否定的態度を崩していない。
厚労省と財務省の力関係だけ見れば、財務省の圧力に屈しかねないと見通しが暗くなりそうであるが、昨日介護事業者にとっては順風と言える動きがあった。
自民党の社会保障制度調査会・介護委員会が、次期改定時に介護報酬を大幅に引き上げるよう求める要望書をまとめ、厚生労働省へ提出したという報道がされている。
要望書では、「公的価格部門が民間部門と比較して遜色ない賃上げを行うことができ、必要な人材が介護業界できちんと確保できるよう、処遇改善も含めた大幅な引き上げを図ること」と注文を付けている。
政権与党の議員団が出した要望書であるから、それなりの影響力は期待できるのではないだろうか。財務省も全く無視を決め込むわけにはいかないのではないかと思う。
財源をどうするのかという大きな問題を含めて、今後の動きに注目したいところだが、少しだけ希望があるのだから、関係者自身もそれぞれのステージで、報酬引き上げの必要性を訴えるなど、発信力を高めて、自らできることを行ってほしい。
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