2014年に川崎市の有料老人ホーム『Sアミーユ川崎幸町』で、入所者3名を3階のベランダから投げ殺した罪で、死刑判決を受けていた今井隼人被告(30)が、最高裁への上告を取り下げたと5/15に報じられた。
(※事件詳細は、フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』の「川崎老人ホーム連続殺人事件」を参照していただきたい。)
これによって今井被告の死刑が確定し、あとは執行を待つだけになったわけである。
上告の取り上げ理由について、今井死刑囚から手紙を受け取ったテレビ朝日は、同社のニュース番組の中で、「ここまで長く戦ってきて気持ち的にも疲れがたまっていました。限界であると思い上告の取り下げをしようと考えています。」と、送られてきた手紙に書かれていた言葉を伝えている。
しかしこの言葉には合点がいかない。
一審や控訴審と異なり、上告審は被告自身が出廷して尋問を受ける機会はほぼない。最高裁による審議の結果を待つだけの期間に、気持ちの疲れを理由に、その期間さえなくしてしまう意味が果たしてあるのだろうか。
上告取り下げには別に真意があるのではないのか。例えば贖罪の気持ちはなかったのか。
もしそんな気持ちが一片もないとしたら、亡くなった被害者や遺族は救われない思いではないのか・・・。

この被告は、裁判で一度も罪を認めていないわけである。逮捕直後はいったん犯行を自供しているが、それは「マスコミから母親を守ってやると捜査員に言われ、やってもいない犯行を自供してしまった」という理由だと後の裁判で述べている。
よって犯行動機も自供されていないし、被害者や遺族への謝罪の言葉も一切ない。
控訴審最中に書かれた今井被告の手記は、本件が「冤罪えんざい」であると強く主張する内容となっている。
しかし事件の被害者は3名とも自力ではベランダの柵を自らとび越えることは困難な状態であった。しかも事件があったすべての日に、夜勤に就いていた職員は今井被告ただ一人だった。さらに自供には事件の当事者でしか知りえない情報が含まれているとも言われており、本件が冤罪である可能性は極めて低い。
(※それにしても2件目の転落死が起こった際に、対策はできなかったのだろうか。同じような転落死が、同じ職員がワンオペ夜勤の日に発生しているのだから、この際に事件を疑って何らかの対策を講じておれば、少なくとも3人目の被害者は生まれなかったのではないかと、つくづく残念に思う。)
そのような背景の中、気持ちの疲れという理由だけで上告が取り下げられ、犯行動機も不明のまま被告が死刑台の露と消えようとしている。・・・遺族は納得できない思いだろう。
介護を受けるために住み替える場所とは、本来ならば、人生の最終ステージを含めて安心して暮らしを送るための場所であったはずである。そこが安住の地ではなく、恐ろしい殺人鬼がひとり夜勤をして殺人を繰り広げる場所であったのである。
運悪くそのような場所に住み替え、被害に遭った方々は、なんと不幸で理不尽な出来事であろうか・・・。ただただご冥福をお祈りするしかない。
そして私たちが介護サービスを提供する場から、そのような要素をすべて排除して、安心して安楽に過ごせる場所にする努力を続けるしかないと思う。
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