11日の財政審・財政制度分科会では、財務省が24年介護報酬改定のプラス改定などあり得ないという厳しい姿勢を示した。
そこで行われた財務省の提言のほとんどが、介護事業者の利益と相反するものであった。
その中にあって唯一介護事業者の利害と一致した提言が、「介護の人材紹介会社の規制強化」である。
このことについて財務省は、税金や保険料などを原資とする介護報酬が人材紹介会社への手数料として使われていることに言及したうえで、「本来は職員の処遇改善などに充てられるべきもの。介護事業者向けの人材紹介会社には、一般の人材紹介会社よりも厳しい対応が必要」と提言した。
具体的には、本人への「就職お祝い金」の禁止をはじめとする現行規制の運用の徹底、手数料水準の設定など一般の人材紹介よりも厳しい対応を求めている。
財務省のこの提言は財源の使われ方を適正化せよというもので、別に介護事業者の経営を考えたものではないにしても、結果的には介護事業者と利害が一致する。
なぜなら厚労省の調査では、人材紹介会社経由で採用された介護職員の半年以内の離職率は、人材紹介会社経由以外で採用された職員よりも高かったとするものもあり、自分が働く介護事業者より、派遣元に忠誠心がある派遣職員は、高い費用をかけても長期的に介護事業者の戦力にはならないことが明らかになっているからだ。
派遣職員に頼った事業経営を余儀なくされている事業者は、派遣費用の増大が経営に大きな影響を与え、収支差率の悪化につながっている。だからといってそのことで、根本的な問題である人材不足が解消されたためしがないという状況が全国そこかしこに生まれているのである。
(参照:人材確保が益々難しくなる時代の介護事業戦略 ・ 派遣費高騰を嘆いても始まらない)
だからこそこの問題の解決が大きな課題となっており、何らかの派遣規制は介護事業者として求める方向でもある。
しかし財務省が提言した規制が実現したとしても抜け道は多々ある。本人への「就職お祝い金」としても、同じ条件の費用を賞与というふうに置き換えて支払うことに規制はできないだろう。
そもそも厳しい罰則の伴わない努力義務規定なんていうものは、民間営利情報者にとってはあって無きがごときものだ。行政指導をいくら受けようと、ペナルティがないのであれば、「申し訳ありません。以後気を付けます」で終わってしまう問題である。
よって規制を行うならば、かなり思い切った厳しい罰則を伴う規制が必要だ。一度規制やぶりをすれば、経営者の手が後ろに回るか、派遣事業ができなくなるかというほどの罰則を伴わなければ意味がない。
しかしそれより・・・人の命や暮らしに関わる職業に、派遣を認めていてよいのかという根本議論も必要なのではないのか・・・。
数なくとも大部分を税金と保険料という公費で運営する事業については、派遣を認めないということにすれば、介護の職業で食っていきたいと思う人間は、すべて介護事業者に直接雇用されることになるのだから、派遣が生み出しているすべての問題は一気に解決することになる。
それは何故できないのだろうか・・・。
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