認知症は早期発見が重要と言われている。・・・その理由は何か?

一つには、認知機能の低下にいち早く気づいて、できるだけ早い段階で確定診断をすることにより、その人の行動が性格上の問題ではなく、認知症の症状によるものだと理解することができることにある。

その人の通常と違った心理状態や行動が、認知症によるものであると周囲の人が理解して関り、認知症による混乱によって、行動・心理症状(BPSD)が発生しないように関わることができる可能性が高まるのである。

そのことによって支援者が、認知症の進行に合わせて、認知症の人の行動変化に適応しやすくなるという効果も期待できる。・・・つまり早期の軽度症状から認知症ケアに携わることで、対応に慣れていき、症状が重度化しても対応可能となるという意味がある。

このように認知症の早期発見により、早期からケアに携わり、習熟していくことができるという意味で、認知症の早期発見は重要なのである。
認知症の人と共に生きる
しかし認知症の早期発見を、認知症の早期治療に結びつけて考えるのは間違っている。認知症を早期発見して内服治療を行っても、それだけで行動・心理症状(BPSD)が改善することはないからである。ましてや認知症の改善が期待できるということにはならない。

なぜなら認知症に治療法はないからである。

そう書くと、「いやいやドネペジルがあるだろう。」という声が聴こえてきそうだ・・・。しかしそれも違うと言える。

アルツハイマー型認知症およびレビー小体型認知症と診断された人に対して、最も使用頻度の高い内服薬である、ドネペジル(エーザイ株式会社製品名:アリセプト)も認知症の治療薬ではない。

それはあくまでの症状進行を抑制する薬として処方されており、認知症そのものは確実に進行していくのである。

だから早期にドネペジルが処方されても、認知症が改善することはない。そのほかに認可されている認知症の処方薬もすべて同じことである。

それらの処方薬は症状の進行をスローダウンさせるというが、本当にそのような効果があるかどうかも神のみぞ知るという問題である。どのようにスローダウンされているのかよくわからないケースが多いからだ。

仮に症状進行が緩やかであると感じたとしても、それが薬効によるものか、その人の症状の個別経過の問題なのかは誰も・どんな方法でも証明しようがない。

僕自身は介護サービスの場で、たくさんの認知症の人に対応してきたが、その経験上ドネペジルの薬効を実感したことはない。服薬開始しても、ほとんど何も変わらないからだ。

何年もの長期間ドネペジルを服薬し続けたケースで、何らかの理由でその処方を止めたケースも少なくないが、服薬しなくなった後に、著しく認知症の症状が進行したというケースの経験もない。

むしろ服薬中止後に、怒りっぽさが見られなくなり、穏やかになる人が多いような気がする。どちらにしても、ドネペジルの服薬を中止して困ったというケースは経験がない。

だからマルメ報酬の老健で、薬価の高いアリセプトを服薬していることが、入所のネックになるケースについては、後発品に変えて価格を抑えるだけではなく、思いきって服薬中止を検討しても良いと思っている。

それはともかく、認知症の人の症状に確実に手が届くのは今のところケアであり、医学の手はケアほど届いてはいないという事実を認識する必要がある。

だからこそ介護サービスの場において、ケアの手が届く認知症予防トレーニングや、認知症リハビリを学んで実践することが重要になる。

5/25(木)14:00〜15:30に無料配信する、『利用者から選ばれ、ケアマネから認められる通所介護の極意』では、この点も詳しく解説する予定だ。
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