私たちソーシャルワーカーは、利用者援助に際してアセスメントを行います。

介護保険制度におけるアセスメントの意味は、「解決すべき課題の把握」と説明されています。(※厚生省令第三十八号第十三条七等

利用者の課題に対して、私たちソーシャルワーカーがどのように対応するかについて分析し考えることから対応は始まります。そこでは自分の役割が何かということを含めて支援方法を具体的に考えることになります。

この際に用いるアセスメント方式は様々です。介護保険制度では課題分析標準項目として23項目が定められているので、これさえ網羅されておればどのような方式を用いても、法令上のアセスメントとして認められます。

介護保険制度外であれば、その23項目に縛られる必要さえなくなります。ソーシャルワーカー各自が、利用者の解決すべき課題を引き出すことができる方法で対応すればよいのです。

しかしどのようなアセスメントツールを用いても、それだけで利用者の解決すべき課題を完全に抽出できることにはなりません。
他人に優しく自分に厳しく向かい合うソーシャルワーク
特に利用者の感情や、気持ちの持ちようということが大きく左右する事柄については、アセスメントツールでは引き出せない部分なのです。

だからこそソーシャルワーカーは、アセスメントツールを用いながら、利用者の感情に適切に寄り添って、気持ちを汲み取るという感情労働が求められるのです。

しかも厄介なことに、人の感情・気持ちの持ちようほどわかりづらいものはありません。

人間というのはなかなか複雑な生き物で、思っていることをなんでも口にできる人はそういません。

しかし私たちが向き合う利用者の方々は、口にできない気持ちを含めて、思っていることすべてを支援者が気づいてくれることを期待します。

利用者は時に、自分の気持ちと正反対のことを言ったり、思ってもみないことを言ったりします。うまく説明できないことも多く、表現したい気持ちの1/100も口にできないというもどかしい思いを抱えている人も多いのです。

それさえ拾ってくれる支援者であることを私たちに期待するのです。

だからこそ私たちには、その思いを汲み取る努力が求められるのです。利用者と真摯に向き合い、何を求めているかを想像しなければならないのです。

ここはアセスメントツールで引き出せない部分です。

『利用者の真の本音を引き出して、単なるデマンドに対応するのではなく、真のニーズに対応しなければならない』なんて簡単に口にしますが、それは不断の努力と、目に見えない場所での研鑽によってはじめて実現することです。

『本音を引き出す関係性は、親しい人間関係から始まる』と言って、タメ口対応がその関係性を創り出すなんて思っている人に、本物のソーシャルワークはできないのです。

対人援助のプロとしての姿勢にあるまじき、無礼でなれなれしい態度で接する人間に、人は救われないのです。

対人援助という職業では、利用者の暮らしぶりをより豊かにするという結果が求められます。それは他者に優しく、自分に厳しい姿勢を貫くことでしか実現できないのです。

それだけの使命と責任を帯びているのが、対人援助・ソーシャルワークという仕事だということを忘れてはならないのです。
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