2024年の報酬改定は、介護・診療・障がいのトリプル改定です。そうであるがゆえに3者の整合性を取るためのルール変更が可能となります。
特に高齢化などで看取りも含む医療ニーズが一段と高まっている現状があり、令和6年度の同時報酬改定に向けた意見交換会(第2回)資料では、特養や老健・介護付きホーム・グループホームといったタイプごとの特性の違いや、人員配置などの環境がそれぞれ異なることも考慮しつつ、現場の実情に合った有効な手を打つことが大きな課題であると指摘されています。
この課題を克服するために、介護施設の医療サービスを、介護施設の中だけで完結させなければならないという現行ルールを見直し、外部の医療機関の適切な介入ができるようにする見直しが検討されます。
その為今回はオンライン診療の解禁がメインテーマとなってきます。
特養の利用者は、施設所属医師の診療を基本としています。そこで行った診療棟については、医師の所属する医療機関が外来扱いで診療報酬を算定できることになっていますが、施設所属医師の専門外に渡る行為以外は原則、外部の医師が診療できない規定があります。
しかし多くの特養では医師は嘱託配置であり、常駐しているわけではありません。その為、施設所属医師が駆けつけて診療できないケースも多々あります。
これらの問題を解決するために、オンライン診療を広く認めることが検討されます。その段階では当然のことながら、施設医師以外の外部の医師によるオンライン診療も広く認めることができないのかという検討もされるでしょう。僕は是非、外部医師のオンライン診療も認めてほしいと思います。
また在宅復帰支援施設である老健については、在宅復帰後、老健医師が継続して診療に関われるようなオンライン対応が検討される可能性があります。
マルメ報酬(介護報酬に老健での診療費などが含まれているという意味)の範囲も検討しなおされ、老健で処方して別に診療報酬を算定できる薬剤の見直しなどにも議論が及ぶかもしれません。ここは注目しておきたいところです。
どちらにしても医政局通知「特別養護老人ホーム等の療養の給付について」は、診療・介護・障がいの3種類のサービスにまたがる通知ですから、この内容も精査して、診療報酬と介護報酬等の算定ルールの整合性を取る良い機会です。
僕自身は是非この機会に見直してほしいと思うルールがあります。それは特養での診療報酬のルールです。
特養は施設サービスですから、居宅サービスに分類されている訪問診療と訪問看護は原則使えません。
しかし特例として訪問看護の場合は、「末期の悪性腫瘍であるもの」については医療訪問看護を利用し診療報酬を算定できることになっています。・・・これは良いのですが、問題は訪問診療です。
訪問診療の場合は、下記のいずれかが特例として診療報酬を算定できるとされています。
ア. 当該患者が末期の悪性腫瘍である場合
イ. 当該患者を当該特別養護老人ホーム(看取り介護加算の施設基準に適合しているものに限る。)において看取った場合(在宅療養支援診療所、在宅療養支援病院又は当該特別養護老人ホームの協力医療機関の医師により、死亡日から遡って30日間に行われたものに限る。)
このうちイの「死亡日から遡って30日間に行われたものに限る。」がネックになって、末期がん以外の看取り介護対象者に訪問診療は実質利用できないのです。
なぜなら余命診断は完ぺきなものではないからです。例えば老衰で看取り介護対象となっている方が、余命2週間という診断であったとします。そこで訪問診療を導入した場合であっても、予想外に延命でき、訪問診療導入から40日後に死亡した場合は、死亡日から遡って30日間を超えて行った訪問診療は請求不可能になり、訪問医師はただ働きとなってしまうからです。
こうしたことがないようにするために、この30日規定については見直しをしてほしいと思います。その際には、看取り介護は余命6カ月以内の見込みの者に対する介護であるという、終末期診断を厳格にすることを条件にしても良いと思います。
そもそも看取り介護算定最長期間が既に30日から45日に変更になているのですから、少なくともこの規定も45日とすべきではないでしょうか・・・。
24年度のトリプル改定では、こうした議論が進められることを期待したいと思います。
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