未だに正式版のフィードバックが行われていないLIFE(科学的介護情報システム )ではあるが、このシステムには莫大なお金がかかっており、途中で放り出すことはできない。
よって昨年11/24の社会保障審議会・介護保険部会資料15頁には、「 LIFEについては、エビデンスを蓄積する観点から、データを提出する事業所・施設を増やし、収集するデータを充実させる必要があり、入力負担の軽減を図るとともに、収集する項目がエビデンスの創出及びフィードバックに資するものとなるよう検討することが重要ではないか。」として今後の方針が示されている。
つまりどんなにオンボロでも、LIFEはなくならないのである。そして今後もたくさんお金と時間を掛けて、システムの安定化を図るので、介護事業者のLIFE対応は今後ずっと続けなければならず、そこに適応できない介護事業者は、事業廃止に追い込まれていかざるを得ない。
現に2024年度介護報酬改定では、訪問介護・訪問看護・福祉用具貸与等にも科学的介護推進体制加算を新設する考え方が示されていると共に、居宅介護支援にもこの加算を新設する動きがある。
しかし居宅介護支援事業所は、LIFEに利用者情報を送る必要はない。その情報は居宅サービス計画に位置付けられているサービス事業所が送る情報と被るからである。
では居宅介護支援事業所のLIFE関連加算とは、どのような要件になるのだろうか。
モデル事業では、科学的介護推進体制加算のフィードバックを受けた居宅サービス事業者の担当者が、そのフィードバック票をサービス担当者会議に持ち寄り、それを事業者間で共有・検討するとともに、担当ケアマネジャーがその内容をアセスメントに取り込んで、必要に応じて居宅サービス計画に反映させるという取り組みを行っている。
例えば上の図は、将来的に国が行いたいLIFEフィードバックのイメージ図である。
ここでは栄養状態と身体機能の維持・向上の因果関係を発見していることが前提となって、通所リハビリ事業所に対し、「80歳の要介護3の男性」の栄養状態を改善する個別プランを立てたうえで、個別リハビリを行うように指示している。
これを受けて通所リハ事業所の担当者は、サービス担当者会議でこのフィードバック情報をチーム全員にアナウンスしたうえで、計画担当ケアマネジャーは、このフィードバック情報をアセスメントに取り込んで、当該利用者の居宅サービス計画書の通所リハ利用の目標に、「栄養状態改善と身体機能の改善」を盛り組むなどが期待されているわけである。
つまり他事業所へのフィードバックを、計画担当ケアマネがまとめて、全体計画にそれを生かす頭脳役を担わねばならないのである。
だからこそ、今後居宅ケアマネジャーはチーム内の誰よりも、フィードバック内容を含めたLIFEの仕組みを理解する必要があり、現在LIFE関連加算がない居宅介護支援事業所という状態に胡坐をかくことなく、LIFEの情報を集めて研鑽していかねばならない。
同時に居宅介護支援事業所の新加算が、モデル事業と同様の加算となるのであれば、国は一日も早くフィードバックの正式版の提供を行う必要がある。現在の暫定版のように、情報提出事業所のデータ平均と、全国の平均を比較するだけのフィードバックでは、居宅ケアマネのアセスメントに反映できる何ものもないからだ。
しかしフィードバック正式版が行われて、居宅ケアマネのアセスメントへそれが反映されたとしても、劇的にサービスの質が変わるかと言えば、そのような期待は持たない方が良い。
国がLIFEに収集しているデータが、本当に原因と結果をつなげるデータなのかどうかは不明な段階であるし、何らかの因果関係を見つけられる保証はなく、そこで科学的根拠が見いだせるかどうかなんて現時点ではわかっていないからである。
しかしLIFEにかけた莫大な費用が無駄ではなかったということを証明しなければならないので、なら科の結果を出す必要がある。・・・それはもしかしたら、「これが科学的介護だ」という介護事業者への押し付け的強制サービスになる可能性だってある。
が・・・しかし、どちらにしてもLIFE関連加算は拡充され、それに対応しないと収益が挙がっていかない構造に誘導されていくので、それにしっかり対応する知識を備えなければ生き残っていけないことは間違いない。
LIFEが科学的介護を創出するなんて幻想はとりあえず置いておいて、国の方針に合致した働き方へ思考回路を向けなければならないのである。
そこだけはしっかり押さえておいてほしい。
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