日本語の、「コネ」という言葉は、英語の「コネクション」(connection) に由来し、縁故採用や親の七光りと結びつけて考える人も多い。
そのためネガティブな意味合いの言葉と捉える人が多い言葉でもある。
しかし「コネ」とは、「人間関係のつながり」を意味する言葉でもあり、その中にはポジティブな意味のつながりも含まれている。
それは「伝手:つて」と同義語でもあり、「希望を叶えるためのてがかり」という意味も持つのである。
だからこそそのような、「コネ」を積極的に求めることがあっても良いのではないかと思ったりする。
特に私たちソーシャルワーカーにとっては、「コネ」は、時に自分の支援の限界値を引き上げてくれる重要な要素になるものだ。
例えば施設サービスの場合は、いわゆる単品サービスであり、組織内の関係性ですべての問題を解決できることが多いため、組織外に力を借りる必要がなく、他にコネを求める必要がない場合も多い。
しかし居宅サービスの場合はそうはいかない。居宅サービスのチームは多くの場合、所属組織がそれぞれ異なるメンバーによって構成されているからだ。
その組織をつなぐ扇の要にケアマネジャーが位置すると言っても、そこに上下関係は存在せず、ケアマネジャーが「上意下達(じょういかたつ)」で他のメンバーに指揮命令を下せるわけではない。
それぞれ異なる理念とルールを持った別組織に所属するメンバーを、利用者の福祉の向上という一つの目的に沿ってつなげ、同じ方向性をもって支援にあたるように導くのがケアマネジャーの役割である。そのためのツールが居宅サービス計画書であると言ってよい。
こうしたチームを構成するメンバーが所属する介護事業者については、居宅サービス計画書を作成するケアマネジャーが選択できる。その時に、もともと持っていたコネを頼りに事業者選択を行うことは、その後のチーム運営をスムースにする一つの手立てでもある。
「他職種連携のためには顔の見える関係性が必要だ」という人がいるが、顔の見える関係は入り口に過ぎない。それをきっかけに、「物を言い合える関係」まで発展させないと多職種協働など絵空事である。
コネは連携を絵空事にしないための重要アイテムでもある。
そもそも居宅介護支援チームの要であるケアマネジャーと言えども、地域の社会資源のすべてに精通しているとは限らない。そんなスーパーマンはほとんどいないと言ってよい。だからこそ他者の知恵を借りながら、より良い方法で利用者の暮らしぶりを豊かにするという考え方が必要だ。
他者とのコネを持っているということは、時にコンサルテーションの役割をも担ってくれる大切な関係性を持っているという意味でもある。
自分以外の専門性を持つ人の知恵を気軽に借りることができるコネほど重宝するものはないのである。
そういう意味では、ソーシャルワーカーは日ごろから、このコネづくりの努力をしなければならない。しかし自分が所属する事業者内にとどまって仕事をしていても、そうしたコネは創ることができない。
そうであるがゆえに、ソーシャルワーカーは地域に出かける必要があるし、自分が仕事をする範囲の地域だけではなく、広く日本全国にコネを求めて、仲間を作りつながる活動が必要なのである。
現在のネット社会では、それが簡単にできるのに、それが可能となる情報発信と情報収集に努めようとする人はそう多くはない。
そこがソーシャルワーカーの弱点でもあると言えるし、介護業界全体の課題であるとも言えるのではないだろうか・・・。
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