介護人材不足という言葉は、介護職員が不足しており、募集に応募が少ないという意味で使われることが多い。

しかし昨今は介護職員だけではなく、介護支援専門員の募集に応募がなく、有資格者の確保に苦労する介護事業者が増えている。

昨年度の介護支援専門員実務研修受講試験の受験者数は5万4406人で、このうち1万328人が合格している。受験者数は前回比プラス116人と微増で、3年連続の増加となったものの、合格者数は4年ぶりに減少し、前回比マイナス2334人だった。

しかしこの数字はあくまで試験の合格者数に過ぎず、全員が介護支援専門員実務に就くとは限らない。一方で5年ごとの資格更新をしない有資格者も多いし、介護支援専門員実務から離れてしまう人も少なくない。つまり新たな有資格者が全国で1万人程度増えても、介護支援専門員実務者の数自体は、さほど増えていないか、むしろ減ってる可能性さえ否定できないのである。

現に、居宅介護支援事業所の数は2018年のピーク時からの減少し続けており、その原因として事業所の中規模化・大規模化だけではなく、介護支援専門員の確保が難しくなっていることが指摘されている。(※居宅ケアマネの実数は、国も把握していない
さくら
この原因の一つに挙げられるのが、介護職員と介護支援専門員の給与格差が縮小したということだ。

介護保険制度創設直後は、介護職員より介護支援専門員の給与の方が高く設定されている事業者がほとんどで、そのため多くの介護職員がキャリアアップとして介護支援専門員を目指し、試験を受けて合格した後、介護支援専門員実務に就く傾向にあった。

しかし介護職員の給与改善を目的にした処遇改善加算が創設されるなど、介護職員の給与が確実にアップする中、居宅ケアマネは処遇改善加算の配分を受けることができないなどで、介護職員ほど給与のアップがされていない状況があり、場合によっては介護職員のままでいる方が年収が高くなるなどの逆転現象もみられている。

そのため介護職から介護支援専門員を目指そうという動機づけが失われつつある。

こうした状況に、国もやっと危機感を持ったのか、重い腰を上げて、次期報酬改定時には介護支援専門員の給与改善策を盛り込む方針を決定している。(参照:ケアマネ待遇改善が明記された厚労省資料

しかしそれだけでは不十分だ。介護支援専門員の年齢構成は、40代が一番多く、40.9%を占めている。次いで30代の26.7%、50代の26.1%と続き、30代から50代で93.7%を占めている。つまり20代の介護支援専門員の数が極端に少ないのである。

これは何故か?言うまでもなくその原因は、受験資格に必要な実務経験の壁が最大原因である。

介護支援専門員になるためには、都道府県のが主管する介護支援専門員実務研修受講試験に合格しなければならない。(※試験が都道府県主管だからと言って、介護支援専門員資格は国家資格である。このことについては、介護支援専門員って国家資格だったのか・・・。を参照していただきたい。)

その受験資格のために、国が指定する実務の経験が5年必要とされているのである。

果たしてそのような要件がなぜ必要とされたのか。それは適切な要件と言えるのだろうか。現状にそれはマッチした要件なのか・・・。そのことについて考えてみたいが、少し長くなりすぎたので、それは明日の更新記事で詳しく論ずることにしたい。

ということでこの続きは、「ケアマネ受験になぜ実務経験は5年も必要なのか(下)」をご覧になってほしい。
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