慢性的な人材不足が叫ばれる介護業界であるが、介護職員数は毎年増え続ける右上がりのグラフ上の中にある。

現在も毎年わずかではあるがその数は増えているのだ。しかし要介護者の数の増加スピードに、介護職員の増加スピードが追い付かないために、介護職員の数はいつも足りず、将来的に必要とされる推定人数の確保も難しい状況になっている。

具体的に言えば、介護保険給付の対象となる介護サービス事業に従事する職員数介護職員の数は、介護保険制度が始まった2000年に54万9千人であったものが、2017年は195万1千人までその数を増やしている。

これだけたくさんの介護職員が増えているのだから、玉石混淆ぎょくせきこんこう)となってしまっており、介護職員と一口に言っても優れたものと、つまらない者が入り混じってしまっているのが介護業界の特徴だ。

そのことが介護業界全体の民度が向上できない大きな原因ともなっている。
心に残る風景
その中でも特に問題なのは、介護サービスを利用されている方々が、「顧客」であるということが理解できず、自分たちが介護のプロとして、介護という行為で生活の糧を得ていることを意識できない馬鹿者どもの存在である。

その者たちは顧客に対して平気で、「ため口」で会話したりする。

そのことを注意しても、まったく修正しようとしない輩どもの理屈とは、『介護は人と人が向き合って暮らしの支援をする職業なのだから、あまり丁寧な態度にこだわり過ぎると、利用者に堅苦しさを感じさせることになる。』というものだ。

おいおい世界一ボキャブラリーが豊富な日本語は、丁寧な言葉であっても相手に心地よく緊張感を感じさせることなく伝達ができるんだぞ。丁寧語を使って堅苦しさを感じさせるのは、伝え方が貧しいからではないのか。丁寧語を使いこなせず、ぎこちない口調になるから、相手に堅苦しいと思われるんだろう。その低すぎるコミュニケションスキルを何とかしろよ。

すると、『関係性ができていれば、表面的な言葉遣いに注意する必要はない』と開き直る馬鹿もいる。

僕たちと利用者の関係性って何よ。家族でもなければ友達でもないぞ。あくまでサービス提供者とお客様の関係性でしかない。それは家族や友人のように、遠慮ない対応やぞんざいな言い回しでも許される関係性ではない。だからこそ介護のプロとしてお客様に接した際に、お客様に少しでも不快な思いをさせないような心遣いが求められるのであって、そのために最低限、「丁寧な言葉遣い」で相対することが求められているのだ。

そんなこともわからない輩は、『家族のように親しみを持ってもらわねばならないのだから、くだけた言葉遣いも必要である。』とも言う。

何度も言うように、僕たちは介護のプロとしてお客様に接しているんだ。そこでは家族のように親身になって相対することは求められても、家族そのものになることは求められていないし、疑似家族化することも許されない。介護のプロとして節度のある対応が求められているのだ。そもそも言葉を崩してしか親しみを表せないボキャブラリーの貧困さを恥じろよ。

ため口を直そうとしない輩は、ため口を親しみを感じさせる表現だと勘違いしているが、ため口とは、「敬語を使わず、なれなれしく話すことで、相手と対等な立場であることを表す口調」である。

タメ口は親しみを表現する言葉遣いではなく、なれなれしいだけなのである。その言葉を年下の者が年長者に使ったり、サービス提供者が顧客に使うことは、「失礼な言葉遣い」ということになるのだ。このことの理解がない輩が多すぎる。

家族そのものにはなれない介護従事者が、介護支援の場で利用者に関わるときに求められる態度とは、家族と同じ遠慮ない態度ではなく、介護のプロとしての態度である。信頼のおける知識と技術に基づいた介護支援と接遇ができることなのに、知識も援助技術も拙い輩が、口の利き方だけ一丁前(いっちょうまえ)に装っておるのは、滑稽を通り越してみじめでさえある。

そしてそのような無礼な言葉遣いは、しばしば人権侵害につながる問題を引き起こしている。そのときに、「そんなつもりはなかった」という言い訳は、人権侵害という結果をもたらした後ではなんの免罪符にもならないことを忘れてはならない。

だからこそ相手から誤解されない対応の基盤となる、「サービスマナー」の視点と姿勢を持ってお客様に相対する必要がある。対人援助のプロとして、いつでもどこでもマナーをもって接することができるように訓練する必要がある。コミュニケーション技術は特に重要なのである。

対人援助のプロとは、よそよそしさを恐れるより、無礼で馴れ馴れしい対応で利用者の尊厳や誇りを奪い、心を殺してしまうことを恐れる人でいなければならない。

対人援助が真の意味で利用者の方々の暮らしを豊かにするために、サービスマナーに注意して顧客対応を行う必要がある。そのことを常日頃から実践できている人は、たとえ自らが少数派で、多数派のいわれなき非難や弾圧に見舞われても心を折らないでほしい。
  
例え99人の馬鹿がいても、正義を貫く人間が一人いれば決して間違った世の中にはならない。そういう人間が一人もいなくなった時、日本の介護は終わる。

そのことを忘れず、誰かのあかい花として咲き続けてほしい。
※菊地雅洋にインタビュー!「これからの地域包括ケアシステム後編その2」(最終回)。地域包括ケアシステムを担う訪問介護から小規模多機能、福祉用具、新複合型サービスまで幅広く各事業について語りました。リスクマネジメントに有効にも拘わらず、まだ整備できていない施設が多いというマストアイテムとは?下記参照ください。

登録から仕事の紹介、入職後のアフターフォローまで無料でサポート・厚労省許可の安心転職支援はこちらから。






※別ブログ「masaの血と骨と肉」と「masaの徒然草」もあります。お暇なときに覗きに来て下さい。

北海道介護福祉道場あかい花から介護・福祉情報掲示板(表板)に入ってください。

・「介護の誇り」は、こちらから送料無料で購入できます。

masaの看取り介護指南本看取りを支える介護実践〜命と向き合う現場から」(2019年1/20刊行)はこちらから送料無料で購入できます。
きみの介護に根拠はあるか
新刊「きみの介護に根拠はあるか〜本物の科学的介護とは(2021年10月10日発売)Amazonから取り寄せる方は、こちらをクリックしてください。